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XE系統を含む各種オミクロン株組換え体、国内外の状況-感染研

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2022年04月12日 AM10:45

BA.1からBA.2へ置き換わりが進む中で、世界各地でこれらの組換え体を検出

(感染研)は4月11日、「オミクロン株の組換え体について」と題した新たな情報を公開した。XE系統を含む各種組換え体について、世界および国内の現状をまとめた短報だ。

SARS-CoV-2を含め、RNAウイルスにおいて遺伝子組換え(2種あるいはそれ以上の同種または近縁ウイルス間で、遺伝子の一部が組換わったゲノムを有するウイルスが生成すること)が起こりうることはよく知られている。異なる系統のウイルスが宿主に同時感染することで生じると考えられるが、SARS-CoV-2についても異なる系統間の組換え体と考えられるウイルスが検出される事例がある。

これまで、アルファ株(B.1.1.7系統)とB.1.177系統の組換え体(XA系統)、B.1.634系統とB.1.631系統の組換え体(XB系統)、アルファ株(B.1.1.7系統)とデルタ株(AY.29系統)の組換え体(XC系統)、デルタ株とオミクロン株の組換え体(XD、XF、XS系統)にPANGO系統が付与されてきた。

最近では、世界的なオミクロン株感染者の急増、そしてBA.1系統からBA.2系統への置き換わりが進行する中で、世界各地からこれらの組換え体が報告されており、PANGO系統が付与されてきている(XE, XG, XH, XJ, XK, XL, XM, XN, XP, XQ, XR)。また、PANGO系統がまだ付与されていない組換え箇所等が異なるオミクロン株の組換え体も世界各地から報告されている。

、イングランドで「感染者増加速度がBA.2の12.6%高い」と報告

これらの組換え体の多くは、形質の変化は明らかになっていないが、唯一、XE系統については、イングランドではコミュニティ伝播が認められており、感染者の増加する速度がBA.2より12.6%高いことを報告している。なお、直近3週間に限れば20.9%高いとの解析結果もあるが、検査政策の変更の影響等含めて精査中であり、XE系統の増加優位性を示す数値として解釈すべきではないとしている。イングランドでは4月5日時点で1,125件が報告されているが、全体に占める割合は1%未満。

その他GISAIDには、米国(3件)、デンマーク(1件)、アイルランド(1件)より登録があり、さらに他の国からも検出されたことを報告する報道がある。重症度等の形質の変化に関する報告はない。英国は、現在流行中の変異株に比べて生物学的に性質が異なると考えられる”Variants”の一つに位置付け、ECDCはVUM(監視下の変異株)に位置付けている。

日本は検疫でXE系統1件確認、ほか2件PANGO系統が判定できない組換え体検出

このXE系統について、感染研は、検疫で2022年3月26日に採取された検体から1件を確認した。PANGO系統判定プログラムで判定不能であったため、遺伝子配列の解読データを確認し、遺伝子配列の詳細な解析を行った結果、XE系統と判定した。なお、このXE系統が英国で流行しているものに由来するか、それとは異なる場所で生じた組換え体であるかはゲノム情報だけから判定することはできない。

XE系統は、ウイルスの抗原性を規定し標的細胞への侵入に関与するスパイクタンパク質はBA.2系統と同一であり、ウイルス粒子の基本的な性状はBA.2系統の形質を有すると考えられる。ウイルスのスパイクタンパク質を標的とする中和抗体医薬やワクチンの効果も、BA.2系統に対する効果と同等と考えられるが、組換え箇所にコードされるウイルス遺伝子の機能変化等のゲノム組換え現象がウイルス感染に与える影響については不明であり、感染伝播性や病原性などのウイルスの形質の変化の有無や感染拡大状況を注視していく必要がある。感染研の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと考えられる。

また、遺伝子配列上はオミクロン株間の組換え体と考えられる検体が検疫でほかに2検体検出されているが、これまで分類されている系統には該当せず、PANGO系統は判定できなかった。

諸外国の状況や知見等も収集しつつ、ゲノムサーベイランスによる監視を継続

国内では、過去にXC系統(AY.29系統とB.1.1.7系統)の組換え体を国内で検知した例がある。XC系統は計24検体を検出したものの、2021年10月16日を最後にその後検出されていない。デルタ株とオミクロン株、オミクロン株間の組換え体は国内では検出されていない。

XE系統に限らず、また、組換え体に限らず、感染拡大状況を注視し、感染・伝播性や免疫回避等の生物学的性質が大幅に変化し社会に大きなインパクトをもたらす変異株の発生を監視していく必要がある。感染研は、引き続き諸外国の状況や知見等も収集しつつ、ゲノムサーベイランスによる監視を行っていくとしている。

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