厚生科学審議会臨床研究部会は24日、臨床研究法見直しに関する議論で、特定臨床研究に関与する企業について、情報提供関連費と接遇費の公表を義務づける方向性を了承した。透明性確保の観点から費目の付け替えの有無を確認することを目的とし、年間総額の公表を求める。具体的内容は、厚生労働省と企業で相談して決める見通し。
自社製品の講演会にかかる費用等の「情報提供関連費」、飲食物の提供等に要した「接遇費」については、臨床研究の費用に充てられることは通常想定されないとして、現行法では公表の対象外としている。
ただ、公表対象外とすることによる費目の付け替えの可能性が国会審議時に指摘されたことを踏まえ、付帯決議で公表対象とすることを検討するよう求められていた。
厚労省がこの日の部会で示した対応の方向性では、特定臨床研究に関与する企業に対して、透明性確保の観点から情報提供関連費・接遇費を公表し、費目の付け替えが行われている可能性の有無を確認できる状態とするよう義務づけることを提案。一方、情報提供関連費・接遇費は臨床研究の不正につながる可能性が低いとして、企業の実務負担も考慮し、「年間総額のみ」を公表対象とすることとした。
委員からは、方向性に賛同する声が相次いだ。渡辺弘司委員(日本医師会常任理事)は1回だけの支払いでも高額な場合があるとして、「できれば支出した回数は記載してほしい」と要望したほか、増田茂樹委員(日本医療機器産業連合会連絡調整会議臨床研究法対応分科会代表)は「企業会計の適正な運用に基づくと、付け替えは通常は想定できない。法令で規制するのが適切かどうかは再確認が必要」と求めた。
これに対して、厚労省医政局経済課の安藤公一課長は「回数などどのような内容や範囲とするかについては、企業と相談しながらきちんと決めたい」との方向性を示した。
厚労省は次回会合で、臨床研究法見直しに関する取りまとめ案を示す予定。