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もやもや病感受性の遺伝子多型が頭蓋外頸動脈の細小化にも関連すると判明-国循

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2022年03月30日 AM11:15

日本人の2~3%が保有する、RNF213遺伝子p.R4810K多型

国立循環器病研究センターは3月29日、日本人の脳梗塞ともやもや病の感受性遺伝子であるRNF213遺伝子p.R4810K多型を持つ人(保有群)では、頭蓋外頸部血管が細くなることを明らかにしたと発表した。この研究は、同センター脳神経内科の山口枝里子医師、吉本武史医師、猪原匡史部長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Stoke: Vascular and Interventional Neurology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

もやもや病は、脳の中に栄養を運ぶ内頸動脈の終末部が細くなり、異常な血管網が形成される疾患であり、脳梗塞や脳出血として発症することが知られている。もやもや病は東アジア人に多く、その疾患感受性遺伝子であるRNF213遺伝子のp.R4810K多型は日本人の2~3%が有しており、頭蓋内動脈狭窄とそれに起因する脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)との関連も報告されている。これはRNF213 p.R4810K多型が頭蓋内の脳血管の構造変化や機能低下を引き起こすためではないかと考えられている。以上から研究グループは、 p.R4810K多型保有者では頭蓋外の頸部血管にも、低形成など何らかの変化が及ぶのではないかと着想し、その関連を検証した。

多型保有群は総頸動脈・頸部内頸動脈・頸部椎骨動脈で有意に血管径が細い

2015年5月から2019年6月の間に同センター病院に入院し、頸動脈超音波検査を施行した脳梗塞既往がある617例(女性204例 [33%]、年齢中央値74歳 [IQR 66-81])を対象とした。総頸動脈、頸部内頸動脈、外頸動脈、頸部椎骨動脈の血管の直径(外膜間径)を超音波で測定し、総頸動脈径、内頸動脈径、外頸動脈径は両側の平均径、椎骨動脈径は優位側径と定義した。先般、猪原匡史部長らと島津製作所が共同開発したリアルタイムPCR法を用いてRNF213 p.R4810K多型を判定し、各血管径をRNF213 p.R4810K多型の保有群と非保有群で比較した。その結果、RNF213 p.R4810K多型保有群では、非保有群と比較して総頸動脈、頸部内頸動脈、頸部椎骨動脈で有意に血管径が細いことが判明した。

RNF213 p.R4810K多型保有者の一部では大動脈や腎動脈、肺動脈など全身の血管障害を発症することが知られており、今回の研究で、頭蓋外の頸部血管も低形成となることがわかった。RNF213 p.R4810K多型を保有していると、心臓から脳に到達する途中の血管が細くなり、脳梗塞に発展する可能性が高くなる可能性がある。今後、同研究グループが提唱している「RNF213関連血管症」という新しい疾患概念を確立し、適切な脳梗塞予防法を開発していくためには更なる研究が必要だと、研究グループは述べている。

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