SMNタンパク質レベルを増加・維持でSMAを治療
スイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は3月16日、エブリスディ(R)(一般名:リスジプラム)について、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対するSUNFISH試験の新たなデータや、生後2か月未満の未発症SMA乳児対象RAINBOWFISH試験の新たな中間データを発表した。研究成果は、Muscular Dystrophy Association(MDA)Clinical and Scientific Conferenceで発表された。
エブリスディは、SMN(survival motor neuron)タンパク質の欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされるSMAを治療するためにデザインされた、SMN2スプライシング修飾剤。SMNタンパク質レベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計されている。SMNタンパク質は全身に見られ、運動神経と運動機能の維持に重要だ。
SUNFISH試験は、II型およびIII型SMAの小児および若年成人患者(2~25歳)を対象としたプラセボ対照二重盲検第2/3相国際共同治験。第2相パート(51人)では、第3相パートにおける至適用量を検討。第3相パート(180人)では、投与開始12か月時点のMFM-32(Motor Function Measure 32)の合計スコアによる運動機能評価を行った。
RAINBOWFISH試験は、遺伝学的検査でSMAと診断されているが未発症の生後6週間未満の乳児(25人)を対象にリスジプラムの有効性、安全性、薬物動態、薬力学を検討する多施設共同非盲検試験だ。
SUNFISH試験、3年目まで運動機能の改善維持
SUNFISH試験では、エブリスディ投与を受けた患者で、1年目に認められたMFM-32(Motor Function Measure 32)で評価した運動機能の改善が3年目まで維持された。1年目に増加したRULM(Revised Upper Limb Module)およびHFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded)で評価した運動機能スコアは、3年目でも維持されたという。
同試験では、3年間にわたりエブリスディの良好な忍容性が示された。SUNFISH試験における有害事象の発現は3年間を通じ経時的に減少し、重篤な有害事象の発現は投与3年目に低い傾向が認められたとしている。全体として、有害事象および重篤な有害事象は基礎疾患を反映したものであり、治験中止に至った治験薬と関連のある有害事象は認められなかった。
SUNFISH試験探索的な2年時点有効性の成績、未治療対照群との比較で運動機能の改善または維持
また、SUNFISH試験の2年間の成績に対し、今回初めて未治療の対照群との外部比較分析が行われた。
MFM合計スコアの探索的な加重解析の結果、SUNFISH試験のパート2において、24か月間エブリスディ投与を受けていた患者は、未治療の外部対照群と比較して、著明な改善(変化量≧3ポイント)または維持(変化量≧0ポイント)を示す割合が高く認められた(それぞれp=0.025およびp=0.002)。
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