運動への動機づけと個人的要因・ソーシャルサポートとの関係性を分析
畿央大学は3月16日、障害者支援施設における運動への動機づけに関係する要因について検証した結果、従来から重要視されていた運動機能や自己効力感よりも、ソーシャルサポートが動機づけに関連することが明らかになったと発表した。この研究は、同大大学院博士後期課程の乾康浩氏と森岡周教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Annals of Medicine」に掲載されている。
障害者支援施設では、社会参加を実現するために身体機能の維持・向上を目的として運動に取り組む必要がある。しかし、入所期間は18か月以上と長期に及ぶ場合もあり、動機づけを維持する必要がある。動機づけには、運動能力や自己効力感といった個人的要因と、ソーシャルサポートが関連するとされているが、家族支援困難などの理由で入所する可能性のある障害者支援施設ではソーシャルサポートの影響が大きい可能性が考えられる。さらに、動機づけは自らの意思と判断で行う自律的動機づけと外部からの誘因によって生じる統制的動機づけに分類されることから両方の側面から把握する必要がある。そこで研究グループは、運動への動機づけを評価する質問紙Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2を用いて評価し、個人的要因およびソーシャルサポートとの関係性を分析した。
障害者支援施設入所者対象に調査・分析、各種ソーシャルサポートが有意な予測因子に
研究の対象は、障害者支援施設入所者とした。施設入所者が実施する運動への動機づけを質問紙Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2を使用して、自律的動機づけと統制的動機づけに分類して評価した。あわせて、施設入所者の移動能力、自己効力感といった個人的な因子と、家族サポート、施設サポート、ピアサポートといったソーシャルサポートを質問紙にて評価し、自律的動機づけと統制的動機づけを予測する因子を分析した。
その結果、自律的動機づけでは高い家族サポートおよび高い施設サポートが有意な独立予測因子となり、統制的動機づけでは、低い家族サポートと高いピアサポートが有意な独立予測因子となった。
障害者支援施設入所者においては、家族や施設スタッフとの関係、入所者同士の関わり方を調整し把握することが、運動への取り組みを促進するためには必要であることを示唆すると考えられる。研究グループは、「今後は、施設入所後の縦断的な変化について検証する必要がある」と、述べている。
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・畿央大学 プレスリリース