同学会は2021年3月、小林化工や日医工などの後発品メーカーがGMP違反で行政処分を受けたことを背景に、緒方宏泰理事(明治薬科大学名誉教授)を座長に「GMP違反再発防止プロジェクト」を発足。約1年間にわたる検討を行い、提言をまとめた。
今回の提言は、▽企業体制・理念の整備と再構築▽GMP体制の再構築▽環境整備――の三つの章で構成。「企業体制・理念の整備と再構築」では、「企業体質や体制、倫理観に関する問題に意識的な対応が弱く、その結果GMP違反を引き起こし、違反を隠蔽し放置する温床となっていた」と指摘。
その上で「企業自らが独自に外部の民間のGMP監査機関等を活用し、その結果を真摯に検討し、全社員に公表し、全社員教育に利用するといった積極的で自主的な取り組みを促したい」と提言した。
具体的には、上場・非上場企業に限らず、経営中枢に客観的な判断力が入るための制度として、社外取締役の設置や定期的なGMP監査など第三者による審査の検討を求めた。
また、後発品の使用促進策をめぐっては、「新薬や長期収載品をベースとした制度・環境をもとにしたスキームの中に後発品も当てはめ、後発品を中心とした政策が取られ、その過程で生じた矛盾の改善を加えるという対応がなされてきた」との見解を示し、「その対応だけでは解決できない矛盾が現れてきている」と考察。
後発品が安定的に供給されるための環境整備を実現するためには、薬価制度や流通制度に関して抜本的な改善が必要との認識を示した。
検討されるべき事項としては、▽後発品の製造承認申請・薬価収載の時期、収載回数▽自由競争下で決められる仕切価、納入価のあり方▽各医薬品の価値を反映した銘柄別薬価大原則下での後発品の価格帯集約と加重平均方式による薬価改定のあり方▽共同開発における負の面の改善――を挙げた。
全承認取得品目数のうち3分の1を占める共同開発品については、「共同開発に関与している各メーカーの寄与が不明確」と指摘。「共同開発に参画している企業名、申請のために関与した試験名、製造を行っている施設場所などの情報が公開されていることが、医療関係者が取る対応のために不可欠な情報とされる」と、積極的な情報公開を促した。
一方、GMP体制の再構築に向けては、GMP調査対象の施設数と比較して調査人員の不足を問題視し、調査体制の強化を訴え、▽登録査察員制度を設立し、専門家集団の確保や運用を図ること▽若手を早期にシニア調査員にまで育成する積極的なプログラムの確立▽複数の都道府県によるブロック単位でGMP調査グループを構成すること――などを提言した。