この日の委員会では、文科省の「2021年度大学における医療人養成のあり方に関する調査研究班」がコアカリの素案を公表。▽薬剤師として求められる基本的な資質・能力▽社会と薬学▽科学的根幹としての基礎薬学▽臨床につながる医療薬学▽衛生薬学・公衆衛生薬学▽臨床薬学▽薬学研究――の7項目で構成し、項目ごとに学習目標や学習事項を示した。
臨床薬学の項目では、これまでは事前学習や実習内容を詳細に記載していたが、「薬剤師として習得すべき能力、あるべき姿」に重点を置いた内容に変更。多職種連携による薬物治療として、各職種の役割と責務、地域連携薬局等の認定薬局と医療機関、地域の介護・福祉との連携などを学ぶこととした。
また、現行の衛生薬学の項目に「公衆衛生薬学」が追加された。学習目標として、ワクチンの種類と対応する感染症、有効性と副反応等を知見や最新の科学的根拠に基づいて説明できるようにするほか、蔓延防止に関する課題を抽出して解決できるようにすることなども掲げた。
社会と薬学の項目に関しては、他の項目と比べて独立したものとして扱われているため、関係性を具体化した。また、医薬品等の安定供給、デジタル技術・ビッグデータの利活用、アウトカムの可視化なども新たに記載した。薬剤師として求められる基本的な資質・能力としては、的確な医薬品の供給、状況に応じた調剤や服薬指導等が実施できる「薬物治療の実践的能力」を記載。利他的態度で生活と命を最優先して医療・福祉・公衆衛生を実現するプロフェッショナリズム、対等な関係性を築いて患者中心の質の高い医療等を実践する多職種連携能力など、医学、歯学でも共通して求める資質を盛り込んだ。
公衆衛生薬学の項目について、長津雅則委員(日本薬剤師会常務理事)は「現在の学生は感染症に関する知識はあるが、メカニズムとしてのワクチンについては希薄」とし、新たに学習内容を充実させることを評価した。