厚生労働省は4日、行動変容を伴う医療機器プログラムに関する評価指標案を作成した。現時点で行動変容を伴う医療機器プログラムを対象とした承認基準は存在せず、実用化に向けては「臨床試験成績に関する資料の提出が必要となる可能性が高い」との考えを示した。海外使用実績や臨床試験成績がある製品についても、人種差や文化的背景が有効性に影響する可能性があるため、必要に応じて国内臨床試験を実施するよう求めている。4月2日まで意見募集を行う。
行動変容を伴う医療機器プログラムは、企業が糖尿病や高血圧、非アルコール性脂肪肝炎の生活習慣病、癌、睡眠障害などを対象に開発中。ただ、有効性や安全性の評価事項が明確に定まっていないため、厚労省は安全性や有効性、ユーザビリティ等に関する評価の留意点を取りまとめた評価指標案を作成した。
非臨床試験では、意図した通りにプログラムが動作するかプログラム部分の評価に加え、開発機器の特性を踏まえた安全性を適切に評価するよう求めた。
臨床試験の必要性については、個々の医療機器プログラムの特性や非臨床で評価できる範囲などをもとに総合的に判断するため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の対面助言を活用することが望ましいとした。
ただ、行動変容を伴う医療機器プログラムは承認前例が限られ、その有効性・安全性を非臨床試験のみで評価することが難しいため、臨床試験成績に関する資料の必要性が高いとの見解を示している。
治験デザインは、二重盲検ランダム化比較試験の実施要否について検討することを前提とした。評価項目は臨床的位置づけによって主観的指標を用いざるを得ない場合があるものの、可能な限り広く認知された標準的な客観的指標を用いるよう求めた。
治療の機能を除いた「シャムアプリ」を医療機器プログラムと比較する対照群として使用する場合には、パイロットスタディでシャムアプリの盲検性が適切に確保されていることを確認することとした。二重盲検ランダム化比較試験の実施が困難な場合はプラセボ効果の影響を受けがたい評価項目を選択するよう求めた。