塩野義製薬は25日、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬「S-217622」の国内での製造販売承認を申請したと発表した。対象は軽症や中等症の患者。条件付き早期承認制度の適用を見込んでおり、承認取得後速やかに供給する計画だ。
国内第IIb相試験の解析で良好な結果を得たため、当初の予定通り申請に踏み切った。
第IIb相試験は、オミクロン株流行後の軽症や中等症患者428例を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験として実施。同剤を1日1回、5日間経口投与し、抗ウイルス効果や臨床症状の改善効果を評価した。
主要評価項目の抗ウイルス効果について、3回投与時点のウイルス力価のベースラインからの変化量を解析したところ、同剤投与群ではプラセボ投与群に比べて有意にウイルス力価が減少していた。
この時点におけるウイルス力価陽性患者の割合は、低用量群、高用量群共に10%未満で、プラセボ群との比較で第IIa相の成績を上回る減少率だった。
これらの結果から、両用量群共にプラセボ群に比べて有意に優れた抗ウイルス効果を示し、主要評価項目の一つを達成した。
一方、もう一つの主要評価項目である症状改善効果は、達成できなかった。
同感染症の12症状の合計スコアの初回投与開始から6日目までの単位時間当たりの変化量を解析したところ、同剤投与群ではプラセボ群に比べて改善方向に推移したものの、有意な差は認められなかった。
ただ、12症状のうち、今回の試験の被験者に特徴的な症状だった鼻水や鼻づまり、喉の痛み、咳、息切れなどの呼吸器症状の合計スコアについては、低用量群、高用量群共に有意な改善効果が認められた。
安全性は第IIa相の結果と同質で、新たに懸念される有害事象は認められなかった。
現在、軽症や中等症患者対象の第III相試験、無症候や軽度症状のみ有する感染者を対象とした第IIb/III試験が進行中で、結果が得られ次第、速やかに提出するとしている。