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東京で市中感染のオミクロン、5種のBA1.1と3種のBA.2が存在-東京医歯大ほか

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2022年02月28日 AM11:00

2021年末~2022年2月中旬、感染患者40人分の全ゲノム解析

東京医科歯科大学は2月25日、2021年末から2022年2月中旬までのCOVID-19患者40人分の検体を用いた全ゲノム解析を行ったところ、その大多数がオミクロン系統株:BA.1.1の市中感染事例であることがわかったこと、さらに、新たな変異を有するBA.1.1およびBA.2系統株の市中感染事例を確認したことを発表した。これは、同大大学院医歯学総合研究科ウイルス制御学分野の武内寛明准教授(同大学病院病院長補佐)、難治疾患研究所ゲノム解析室の谷本幸介助教、リサーチコアセンターの田中ゆきえ助教、ウイルス制御学分野の北村春樹大学院生、多賀佳大学院生らによる同大入院患者由来SARS-CoV-2全ゲノム解析プロジェクトチームが、同大統合臨床感染症学分野の具芳明教授、木村彰方理事・副学長・特任教授および京都府立医科大学大学院分子病態感染制御・検査医学分野の貫井陽子教授(前医学部附属病院感染制御部部長)との共同解析として行ったもの。

2021年11月下旬以降、日本でも空港検疫にてオミクロン株への感染事例が確認され、その後国内に流入したオミクロン系統株と国内デルタ系統株による第6波としての市中感染再拡大に見舞われているのが現状だ。第6波初期(2021年12月1日~2021年12月31日)には、オミクロン系統株:BA.1およびBA.1.1の両系統株が混在していたが、第6波中期(2022年1月~2022年2月中旬)には、BA.1.1系統株が国内主流系統株となっている。ところが、海外においてBA.1系統株よりも感染伝播性の更なる増大が懸念されるオミクロン系統株:BA.2の感染拡大の兆候が新たに認められてきており、日本においても、BA.2系統株の市中感染事例が徐々に増えつつある。BA.2系統株の市中感染拡大を抑えるためにも、さらに強固な感染拡大防止対策を講じると同時に社会経済活動維持とのバランスを取る必要に迫られているのが現状だ。

9割以上がオミクロン市中感染、系統株間で重症化リスクに有意差なし

2021年12月末から2022年2月中旬までに東京医科歯科大学病院に入院または通院歴のあるCOVID-19患者由来検体を用いて全ゲノム解析を行った結果、9割以上の患者がオミクロン系統株への市中感染だったことがわかった。

オミクロン系統株への感染事例内訳は、その7割以上がBA.1.1系統株への感染事例だった。その中には、BA.1.1系統株の特徴変異の有無が異なるBA.1.1系統株が5種類存在していることがわかり、市中流行BA.1.1系統株の多様化が進んでいることが示唆された。一方、BA.1およびBA.2系統への感染事例は双方1割程度だが、BA.2系統株においても特徴変異の有無が異なるものが3種類存在していることがわかった。

またオミクロン系統株に感染した患者の重症化リスクについては、系統株間において有意な差異は認められなかった。

感染伝播性が高いBA.1.1が主流な日本、BA.2への置き換わりが緩やかな可能性

第6波における同大学病院にかかったオミクロン系統株感染者は、海外渡航歴がなく市中感染事例である可能性が極めて高いものと研究グループは考えている。また日本において、BA.1.1系統株は、BA.1とBA1.1両系統株の混在状態から主たる市中流行株になり得た系統株であることが示されている。BA.1.1系統株は、BA.1に新たな変異【R346K変異:レセプター結合領域】が加わった系統株であり、この変異はウイルス増殖速度が早まる可能性や感染伝播性が高まる可能性も指摘されている。

研究グループは、日本でのBA.2への置き換わりが比較的緩やかである可能性の1つとして、BA.1系統株よりも感染伝播性が高い可能性を有するBA.1.1系統株が市中流行株の大部分を占めていることが考えられるとし、このことを示唆する事例として、BA.2系統株への急激な遷移を示した国(デンマークおよびフィリピン)では、BA.1系統株が主流であったのに対し、そのような兆候を示していない国(日本および米国)ではBA.1.1系統株が主流である点を挙げている。いずれにしてもBA.2系統株への置き換わりが進むと第6波の長期化につながる可能性が十分考えられることから、「引き続き効果的な感染拡大防止策を継続すると同時に市中感染株の推移をモニタリングし、SARS-CoV-2流行実態を把握することが公衆衛生上の意思決定に重要である」と、研究グループは述べている。

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