新型コロナウイルス経口治療薬「パキロビッドパック」が特例承認されたことを受け、各都道府県から厚生労働省に対応薬局リストが提出された。27日までは院内処方が原則だが、パキロビッドは併用禁忌の薬剤が約40種類あり、使用中の薬剤との相互作用には注意が必要で、試験的に院外処方を運用している。日本薬剤師会が各都道府県薬剤師会に通知を発出して注意喚起を行っている中、東京都では9軒、福岡県では8軒の対応薬局が決まった。
パキロビッドは流通量が少なく併用禁忌の薬剤が多数あるため、27日までは承認直後の試験運用期間として、同剤の取り扱いは新型コロナ病床確保医療機関と各都道府県が選んだ対応薬局に限定している。28日以降に配分対象施設を拡大するため、医療機関と薬局の連携を確認する観点から、厚生労働省は必要に応じてパキロビッド対応薬局への院外処方を積極的に検討するよう要請している。
日本薬剤師会は14日付で各都道府県薬に、多数の併用禁忌があるパキロビッドの調剤に関する通知を発出し、注意喚起した。安部好弘副会長は16日の記者会見で、「対応薬局は服用中の薬剤を把握し、不確実なところがあればパキロビッドを調剤する前に、患者が服用中の薬剤を調剤している薬局や医療機関に確認しなければならない」と述べた。
その上で、「例えば不整脈の薬も併用禁忌となっているが、パキロビッドを使うことで不整脈の薬を止めていいのか、ラゲブリオを使うのがいいのかなど処方医と連携して検討していく必要がある」と述べた。
厚労省は、各都道府県に対応薬局数を一桁台にとどめるよう指示。各都道府県の対応を見ると、一部の地域では薬剤師会と調整し、対応薬局のリスト化を行っているようだ。福岡県は県薬と調整し、試験運用期間中は県内にある地域薬剤師会の会営薬局8軒を指定することを決めた。
東京都は都薬に協力要請を行い、都内九つのエリアに一つずつ計9軒の薬局が対応することになった。ただ、都内では新型コロナ病床確保医療機関が約200施設あるのに対し、9軒の薬局が院外処方に対応することは難しい。
そのため都薬は、東京都病院薬剤師会と連携し、病院が院外処方を行う際に、各エリアの薬局で対応が可能か都薬に事前に連絡するよう要請する方針だ。