承認申請の対象は軽症や中等症の患者。申請した場合、2月末から3月初頭にかけて条件付で早期承認を得られると見込んでいる。
手代木功社長は「製造は順調に進行しており、2月末には40~50万人分をすぐに提供できる。可及的速やかに提供できるようにしたい」と語った。
会見で国内第IIa相の解析結果を発表した。プラセボと比較して有意に優れた抗ウイルス効果が示されたほか、ほぼ全ての有害事象は軽度で、副作用も全て軽度だった。手代木氏は「非常にいい手応えを感じている」と強調した。
第IIa相に続き、軽症や中等症患者を対象に進行中の国内第IIb相試験の解析結果が2週間以内に明らかになる見通し。
手代木氏は、「第IIa相の結果を再確認するものであれば速やかに国に申し入れたい」とし、結果次第で早期承認を申請する考えを示した。
第IIa相試験は軽症や中等症、無症候、軽度の感染者を対象に実施した。新型コロナ陽性の感染者に同剤やプラセボを経口で1日1回、5日間投与した。
低用量群、高用量群、プラセボ群計69人のデータを解析した結果、同剤投与群のウイルス力価やウイルスRNA量は、プラセボ群に比べて速やかに減少。同剤3回投与後のウイルス力価陽性患者の割合は、プラセボ群と比べて約60~80%減少し、感染性を有するウイルスを排出する患者が速やかに減ることが示された。同剤投与群のウイルス力価が陰性になるまでの時間は、プラセボ群に比べて2日短かった。
条件が異なるため直接的な比較はできないが、公表値で比べた場合、同剤のウイルスRNA減少効果は、国内で承認された経口抗ウイルス薬「ラゲブリオ」や、近く承認見通しの「パキロビッドパック」を上回るという。
このほか同感染症に特徴的な12症状の累積値を比べた結果、同剤投与群ではプラセボ群に比べて、症状の改善傾向が認められた。
探索的に重症化抑制効果を評価したところ、病態が悪化し入院や入院に準ずる治療が必要と判断された患者の数は、同剤投与群では0人、プラセボ群では2人(14.3%)だった。
軽症や中等症を対象にした国内臨床試験は9日から第III相に移行する計画。無症候や軽度症状を対象にした第IIb相/III相試験は継続して実施する。グローバル第III相試験も近く開始する計画だ。