厚生労働省は1月31日、ファイザーが国内承認申請中の新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬「ニルマトレルビル錠・リトナビル錠」について、年内に200万人分の供給を受けることで最終合意書を締結した。国内承認が前提で、承認後速やかに4万人分が納入される予定。厚労省は、2月中旬をメドに承認したい考えだ。
同剤をめぐっては、2021年12月に200万人分を日本政府に供給することで基本合意している。同社は国際共同第II/III相試験の結果をもとに1月14日、特例承認の枠組みで製造販売承認を厚労省に申請していた。
後藤茂之厚生労働相は1日の閣議後会見で、「オミクロン株に対する効果が示唆され、重症化リスクを有する軽症者に対する治療の選択肢が広がる」との考えを示した上で、「承認したら速やかに4万人分が納入される予定だ。詳細な納入スケジュールは同社と調整中だが、今月中旬には承認する形で作業を進めたい」と述べた。
ニルマトレルビルは、ウイルスの増殖に必要な酵素である新型コロナウイルスのメインプロテアーゼの作用を阻害するよう設計されており、同剤の代謝を遅らせるリトナビルを併用することで重症化を軽減し、発症を予防する。
国際共同第II/III相試験では、重症化リスクの高い患者において、同剤がプラセボと比べて入院または死亡のリスクを症状発現から3日以内で89%、5日以内で88%減少させることが示された。また、有害事象の発現割合は同剤とプラセボで同程度としている。
承認された場合、新型コロナウイルス感染症の軽症者に対する経口治療薬は、MSDの「ラゲブリオ」(一般名:モルヌピラビル)に次いで国内で2製品目となる。