■逼迫状況にある現場も
日薬連は、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課と品質問題事案の再発防止に向けた検討を進める中で、原因の一つに人員不足が浮上したことから、2021年7月19日から8月4日にかけて会員各社を対象に製造所の人員状況に関するアンケート調査を実施。425製造所から回答を得た。
その結果を踏まえ、製造・品質関連業務に従事する総人員数に占めるQA・QC部門を合わせた品質部門の人員比率を20%以上、QA部門の人員比率を5%以上確保するよう求めた。
今回の調査では、品質部門の人員比率20%以上を満たさない製造所が30.5%、QA部門の人員比率5%以上を満たさない製造所が24.3%あることも明らかになった。
品質委員会の小野誠副委員長は、「これら二つの指標で人員を確保できるよう努力してほしい」と会員各社に要請した。一方で、「いたずらに人員確保のために能力がない人を確保することでは品質を担保できない。製造実態を踏まえ、中長期的に考えて人員を確保してほしい」とクギを刺した。
より製造実態と合わせるため、1人当たりの年間品目数、年間ロット数を参考に人員数を考慮することも提言した。製造部門では1人当たりの年間品目数として2品目未満、年間ロット数として26ロット未満の参考値を示し、これらを満たす人員数を確保するよう求めた。
QA部門では年間品目数18品目未満、年間ロット数331ロット未満、品質部門では年間品目数5品目未満、年間ロット数91ロット未満、設備の維持管理等を行う技術担当業務では年間品目数19品目未満、年間ロット数301ロット未満とした。
1人当たりの年間品目数と年間ロット数が今回示した参考値以上となり、人員不足がうかがえた製造所数は製造部門で16.2%、QA部門で16.0%、品質部門で15.5%、技術担当業務で15.0%が該当することが判明した。
小野氏は「約15%前後の製造所は参考値を満たしておらず、1人当たりの年間ロット数が平均の10倍以上の製造所もあった。かなり人員が逼迫した厳しい状況で医薬品を製造していると推察される」との認識を示し、こうした製造所に対しては短期的な対応を求めた。
ただ、参考値を満たさない製造所についても、「自動化が進んでいるなど、適切な説明ができれば人員を増やす必要はない」との考えを示し、「各製造所できちんと解析した上で、説明できるような体制を整えていただきたい」と述べた。
同委員会では、今回の考え方を踏まえ、品質部門の人員確保の重要性を浸透させていきたい考えで、今後も適切な体制で医薬品製造が実施できているか改善状況を確認していく予定。