医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 【社保審部会】被保険者の負担案に反論-電子処方箋の運用コスト

【社保審部会】被保険者の負担案に反論-電子処方箋の運用コスト

読了時間:約 1分48秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年02月02日 AM10:30

社会保障審議会医療保険部会は1月27日、2023年1月に本格運用する電子処方箋の費用負担のあり方について議論した。厚生労働省は、2023年度以降における電子処方箋の保守・運用コストを9億1000万円とし、全ての被保険者が公平に費用を負担する仕組みを提案。これに対し、医療保険者の委員から「被保険者のみが負担するのではなく、受益者も応分に負担すべき」「一定の効果が出るまでは国費で負担すべき」との意見が相次いだ。

厚労省は、電子処方箋の導入について、「単に処方・調剤事務の効率化にとどまらず、医療保険制度の運営基盤の一つとして被保険者全体が利益を受けるもの」とし、被保険者が負担する仕組みを提示。加入者1人当たり負担額(月額)は約0.61円(運用1年目0.11~0.37円)と試算した。

これに対し、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)は、「運営コストは効果の見合った負担でなければならない。一定程度この制度が定着して、一定の効果があがるまでの期間は体制整備期間と位置づけ、国の負担をお願いできるよう強く要望したい」と述べた。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「新たな情報が追加されるたびに費用負担のあり方を考えるのではなく、厚労省に総合的な今後の全体像を示していただき、利活用場面やユースケース等を整備し、その役割や受益等を踏まえ、費用負担のあり方を議論すべきとこれまで繰り返し申し上げてきた」と述べた上で、「その点について返答がないまま、電子処方箋の費用負担のあり方について説明があったことは大変遺憾に思う。受益者の中でなぜ保険者だけが負担しなければならないのか」と批判した。

村上陽子委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「将来的な運営コストについてシミュレーションが示されていないのに、被保険者だけが負担することを被保険者に対して説明できない。一定の効果が見えるまでは国費で負担し、受益者も応分に負担すべき。このような段階で費用負担することは納得できない」と反対する考えを示した。

一方、横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長/佐賀県多久市長)は、「費用負担は1人1カ月で0.61円、年間で計算すると7.32円、80年の人生で計算すると585.6円になる。一生をカバーできるので、この程度であれば国民みんなが使える意味でコスト負担はありだと思う」と主張した。今後、新たな感染症対策など様々な場面で費用負担が発生するとし、「国が負担するとなっても最後は国民負担に戻ってくる。そこを理解いただく必要がある」と強調した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果
  • 【総務省 24年調査結果】医薬研究費は3年連続増-対売上比も10%台に回復
  • 【薬価部会で製薬業界】流通改善の成果アピール-中間年改定廃止を訴える