厚労省は、電子処方箋の導入について、「単に処方・調剤事務の効率化にとどまらず、医療保険制度の運営基盤の一つとして被保険者全体が利益を受けるもの」とし、被保険者が負担する仕組みを提示。加入者1人当たり負担額(月額)は約0.61円(運用1年目0.11~0.37円)と試算した。
これに対し、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)は、「運営コストは効果の見合った負担でなければならない。一定程度この制度が定着して、一定の効果があがるまでの期間は体制整備期間と位置づけ、国の負担をお願いできるよう強く要望したい」と述べた。
安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「新たな情報が追加されるたびに費用負担のあり方を考えるのではなく、厚労省に総合的な今後の全体像を示していただき、利活用場面やユースケース等を整備し、その役割や受益等を踏まえ、費用負担のあり方を議論すべきとこれまで繰り返し申し上げてきた」と述べた上で、「その点について返答がないまま、電子処方箋の費用負担のあり方について説明があったことは大変遺憾に思う。受益者の中でなぜ保険者だけが負担しなければならないのか」と批判した。
村上陽子委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「将来的な運営コストについてシミュレーションが示されていないのに、被保険者だけが負担することを被保険者に対して説明できない。一定の効果が見えるまでは国費で負担し、受益者も応分に負担すべき。このような段階で費用負担することは納得できない」と反対する考えを示した。
一方、横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長/佐賀県多久市長)は、「費用負担は1人1カ月で0.61円、年間で計算すると7.32円、80年の人生で計算すると585.6円になる。一生をカバーできるので、この程度であれば国民みんなが使える意味でコスト負担はありだと思う」と主張した。今後、新たな感染症対策など様々な場面で費用負担が発生するとし、「国が負担するとなっても最後は国民負担に戻ってくる。そこを理解いただく必要がある」と強調した。