調剤報酬の改定案では、これまで調剤料として評価されていた薬剤調製や取り揃え監査業務の評価として「薬剤調製料」、調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析と調剤設計、薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴管理業務については「調剤管理料」を新設するとした。
ただ、薬剤調製料は処方日数に関わらず点数が統一化されたが、調剤管理料は処方日数に応じた段階的な点数とされた。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、薬剤調製料の新設は評価した一方、処方日数に応じて4段階評価となった調剤管理料には「違和感がある」と意見を表明。「調剤料の5段階が調剤管理料の4段階に整理されて終わりではなく、今後実態を検証しながらさらなる段階の整理が必要」と訴えた。
複数の医療機関から6種類以上の薬剤が処方された患者で、初回や処方変更の場合に限って必要な薬学的管理を行った場合に算定できる「調剤管理加算(調剤管理料)」については、「ポリファーマシー是正の方向性に逆行する」と強く反発。
「調剤管理加算の有無によって、減薬の状況に差がないかを検証し、場合によっては加算を廃止する検討を行うべき」と要求した。
これに対し、診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「6種類以上の薬を服用する場合には副作用の発現率が高くなるということが報告されており、患者さんの薬を一元管理し、飲み合わせの確認や必要に応じて相談を行う取り組みは特に重要」と主張。調剤管理加算の施設基準でも重複投薬の解消に関わる取り組みが実績として求められており、「積極的にポリファーマシーの解消に取り組む薬局に対してのさらなる推進策、重複投薬を防止する薬局の裾野を広げる意味でも重要なもの」と理解を呼びかけた。
ただ、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「患者の負担になる」と述べ、「ポリファーマシーを防止することは重要なことだが、ポリファーマシーに関係したもので加算すればいい話。今回は加算を見送るべきではないか」と反対姿勢を強調した。
異論が相次ぐ中、事務局からは「(改定後に)調剤管理加算の運用を検証することも検討したい」との方向性が示され、支払側も了承した。