■22年度改定で項目案
厚生労働省は26日、中央社会保険医療協議会総会に、2022年度診療報酬に関する個別項目の改定案を示した。新たに導入されるリフィル処方箋については一定期間内に反復利用が可能な総使用回数の上限を3回までに限定。保険医療機関および保険医療養担当規則で投薬量に限度が定められている新薬や向精神薬、湿布薬は対象から除外する一方、リフィル処方により処方を行った場合は処方箋料の要件を見直し、長期投薬にかかる減算規定を適用しない。調剤料として評価されていた薬剤調製や取り揃え業務については「薬剤調製料」を新設し、薬局・薬剤師業務の評価体系を見直す。
来年度の診療報酬改定でリフィル処方箋を導入するため、対応可能な処方箋様式に変更する。医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入できるよう改める。
リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとし、1回当たり投薬期間と総投薬期間については、医師が患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とした。療養担当規則で投薬量に限度が定められている医薬品や湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。
リフィル処方箋で1回目の調剤を行うことが可能な期間については通常の処方箋の場合と同様とするが、2回目以降の調剤については、原則として前回の調剤日を起点とし、調剤にかかる投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。
薬局は、1回目または2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日および次回調剤予定日を記載すると共に、調剤を実施した薬局の名称や薬剤師の氏名を余白か裏面に記載の上、リフィル処方箋の写しを保管する。
また、薬剤師は患者への服薬状況を確認した上でリフィル処方箋による調剤が不適切と判断した場合は調剤を行わず、受診勧奨を行うと共に処方医に情報提供するほか、リフィル処方箋の交付を受けた患者には同一の薬局で調剤を受けるべき旨を説明する。
一方、地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を評価する観点から、地域支援体制加算の要件や評価を見直す。現行は地域支援体制加算として所定点数に38点が加算されているが、調剤基本料の算定、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて類型化し、「地域支援体制加算1~4」と4段階に区分した評価に改める。
また、地域支援体制加算を算定している薬局が、災害や新興感染症の発生時に医薬品供給や衛生管理にかかる対応を行うなど、地域で必要な役割を果たせる体制を確保した場合の評価として、連携強化加算(調剤基本料)を新設する。
薬局・薬剤師業務の評価体系も見直す。これまで調剤料として評価されていた薬剤調製や取り揃え監査業務の評価として「薬剤調製料」、調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析と調剤設計、薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴管理業務の評価については「調剤管理料」を新設する。
複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者やその家族に対し、服薬状況を一元的に管理し、必要な薬学的管理を行った場合には「調剤管理加算(調剤管理料)」を新設する。
薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換を推進する観点から、対人業務に係る薬学管理料の評価について見直しを行う。かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、患者のかかりつけ薬剤師以外の薬剤師が、かかりつけ薬剤師と連携して必要な指導等を実施した場合の特例的な評価を新設する。
一方、病棟薬剤師の評価を拡充し、病棟薬剤業務実施加算を小児入院医療管理料を算定する病棟に対象を拡大。質の高い周術期医療が行われるよう手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学的管理を連携して実施した場合として、周術期薬剤管理加算の評価を新設する。
敷地内薬局を想定した特別調剤基本料をさらに引き下げるほか、損益率が比較的高い、同一グループの店舗数が多い薬局を対象とする調剤基本料3の範囲も拡大する。