この日の分科会では、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の森内浩幸参考人が、国内の小児における新型コロナウイルス感染症の罹患状況とワクチン接種に関する考えを発表。
同学会のレジストリを分析した結果、2021年12月以降の小児の感染ルートとして、家庭内感染の割合が減少する一方、「幼稚園・保育所関係者」が増加していると指摘した。
罹患から1カ月以上経過後、5~11歳でも発熱、味覚・嗅覚障害、倦怠感等の症状が確認されているほか、外来に定期的に通院している小児も確認されているとした。
米国疾病予防管理センター(CDC)の5~11歳小児におけるデルタ株に関する解析結果も引用。局所の痛み、熱や倦怠感等の全身症状は16~25歳よりも軽い傾向が見られ、ワクチンの発症予防効果は高いとする一方、「オミクロン株への効果は不明」とした。心筋炎の発症に関しては、12~24歳の10分の1程度で、いずれの事例も軽症としている。
その上で、「5~11歳の健康な子供への接種は12歳以上の子供への接種と同様に意義がある」とし、メリットとデメリットを小児と保護者が十分に理解し、接種前後できめ細かい対応が必要とした。
鈴木基委員(国立感染症研究所感染症疫学センター長)は「オミクロン株に対するエビデンスは世界的に見ても限定的で、特に小児では限られている」と指摘しつつ、「アルファ株やデルタ株に対する効果と安全性が確認されていること、感染規模が大きくなり小児の重症例が少なくないことを総合的に考えると、接種を拡大する意義はある」と強調した。
釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「オミクロン株に対するワクチンがすぐに供給されるわけでもないし、今後も流行株と接種可能なワクチンにズレが出てくると思うが、予防に有効かという視点で総合的に考えると、5~11歳に接種を勧めることは重要」との考えを示した。
阿真京子参考人(日本医療受診支援研究機構理事)も、「接種したくない人の考えを尊重するのと同様に接種したい人の考えも尊重すべきで、希望者が接種できる仕組みを構築すべき」と述べるなど、反対意見は上がらず、臨時接種に位置づける方針を了承した。
5~11歳の小児に対しては、ファイザーの「コミナティ筋注5~11歳用」が使用される予定。