東京都薬剤師会の永田泰造会長は定例会見で、後発品の流通状況について言及。2021年末の厚生労働省からの通知を受け、後発品メーカーによる供給調整解除が開始されているが、「各薬局はメーカーを切り換えてしのいでいるのが事実で、発注をかけても卸からモノが入ってこない。強く声をかけてやっと商品が入ってくる」と述べ、薬局から要望があっても、すぐに納品を行わない医薬品卸の対応を批判した。
厚労省は、出荷停止となっていた品目の8割強で供給不正事案前より供給量が増加していた調査結果を受け、供給量が十分なものは出荷調整を解除するよう求める通知を発出した。
ただ、永田氏は「流通不足の品目はまだある」と述ベた上で、「各メーカーが供給量が十分な製品について出荷調整を解除する対応を行っているかというと、されていない」と指摘。出荷調整が解除となった品目では流通状況が改善したケースは見られているが、しばらくすると採用している後発品メーカーの品目で流通不足が起こり、メーカーを切り換えながら患者に供給しているのが現状という。
永田氏は医薬品卸の対応についても、「品目を抱えているにもかかわらず、発注してもほったからしにされ、しつこく言わないと商品を持ってこない。出荷調整が解除となり、卸がコントロールしているようにしか見えない。流通ができるような体制が取られているか疑問符が付く」と苦言を呈した。
一方、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する経口抗ウイルス剤「ラゲブリオ」の対応薬局について当初は都内で70軒の薬局しか手挙げがなかったが、約1300軒の薬局がMSDのラゲブリオ登録センターに登録したと報告。永田氏は、「地域支援体制加算を取得している薬局のおよそ半分は対応してもらえているが、コロナ診療を行う医療機関の周辺にある薬局が全て手を挙げてくれているかといえばそういうわけではない」との認識を示した。