富山県は19日、後発品メーカーの富士製薬工業が製剤の純度試験の一部を実施していなかったなどとして、医薬品医療機器等法に基づき業務改善命令を出した。同社は同日、「業務改善命令を重く受け止め、患者様、医療関係者、その他のステークホルダーに多大な迷惑と心配をかけたことをお詫びする」と謝罪した。
富山県での医薬品製造業に対する行政処分は、2021年3月の日医工に対する製造業32日間、製造販売業24日間の業務停止命令に続くものとなる。
今回の主な違反内容は、厚生労働大臣の承認を受けた試験中、製剤の純度試験の一部を未実施、承認書の規定とは異なる方法で純度試験を実施、承認書に規定された含量規格を下回る標準物質を用いて原薬および製品の定量試験を実施したことである。
処分理由について、製造業では厚労大臣の承認を受けた試験の一部を実施していなかったことなど、医薬品製造管理者が従業員を適切に監督せず、必要な注意をすることを怠ったこととした。
また、製造販売業では、法令に従い適正に製造販売が行われるよう必要な配慮を怠り、製品の品質管理を適正に行わなかったほか、承認を受けた試験の一部を実施していなかった医薬品について、承認事項の変更に係る手続きを行うことなく製造販売したこと、医薬品等総括製造販売責任者が、品質管理業務を適正に行わなかったことを挙げている。
当該製品の「フォリルモンP注75、同注150、レボノルゲストレル錠1.5mg『F』、ナファレリン点鼻液0.2%『F』」は自主回収済み。同社は、自主回収した各製剤の品質に問題がないことを確認しており、重篤な健康被害が発生する恐れはないとしている。これまでに健康被害、有効性・安全性への影響があったとする報告はない。
業務改善命令の法令遵守体制の抜本的改革には、各責任者の責任の所在の明確化、医薬品製造管理者等が適切に監督し、製品の製造管理および品質管理業務が適正に行われる体制の構築、各責任者に必要な権限を付与し、その業務および義務を確実に遂行できる体制の整備、役職員の法令遵守の徹底、体制の整備が含まれる。