厚生労働省は13日、2020年度の保険医療機関と保険薬局の指導・監査等の実施状況を公表した。保険薬局では、保険指定の取消処分を受けた施設はなく、直近6年間で0件は初めて。指導・監査による調剤報酬の返還額は約2億円だった。
新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言やまん延防止等重点措置実施期間中に個別指導等の実施を全国一律で見合わせた影響で、20年度は実施件数が前年度から大幅に減少した。
調剤報酬に関わる個別指導を実施した保険薬局は742件、薬剤師は1101人、新規個別指導を行った保険薬局は1152件、薬剤師は1720人、集団的個別指導を行った保険薬局はなかった。適時調査を行った保険薬局は2件、監査を行った薬局は7件、薬剤師は21人だった。
保険指定取消処分を受けた保険薬局、薬剤師はなく、保険局医療課医療指導監査室によると、直近6年間で0件だった年度は初めて。
医科と歯科を合わせると39件、61人に監査を実施し、指定取り消し相当を含めて19件の指定と18人の登録を取り消した。指定取り消しは前年度から2件減少し、登録取り消しについては3人増加した。
不正内容は、架空請求、二重請求、振替請求など不正請求が内訳のほとんどを占め、監査拒否による指定取り消しが増加している。取消処分のきっかけは、保険者、医療機関従事者、医療費通知に基づく被保険者からの通報が取り消し件数の半数を占めた。
医療機関からの返還金額は59億6000万円(指導で28億7000万円、適時調査で26億1000万円、監査で4億8000万円)となり、前年度から49億1000万円減少。
内訳は、医科が約52億円、歯科が約5億円、薬局が約2億円だった。