北大病院主導・医師主導P2試験の成績に基づく承認
北海道大学病院は1月7日、ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)、製造販売元:中外製薬株式会社)について、11月25日にHER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がんを適応症で適応拡大の承認を受けたと発表した。今回の承認は、HER2陽性の進行・再発唾液腺がん患者16例を対象に実施された、北海道大学病院主導の国内第2相・医師主導治験(HUON-003-01試験)の成績に基づくもの。
希少がんで標準的な薬物療法が確立していない唾液腺がんでは、新規治療薬の開発が切望されている。
同試験の実施では、ハーセプチンとドセタキセルの併用による有効性および安全性を検討。主要評価項目は奏効率であり、有効性解析対象集団15例のうち、60%に奏効が認められた(95%信頼区間:32.3~83.7)。副次評価項目の安全性評価において、主な有害事象は、好中球数減少、白血球数減少、脱毛症、貧血、口内炎および低アルブミン血症等だった。治験計画で設定した治療が完了できなかったのは16例中1例であり、忍容性も確認された。
なお、同試験の実施施設は、北海道大学病院、宮城県立がんセンター、国際医療福祉大学三田病院、名古屋市立大学病院、神戸大学医学部附属病院の全国5施設だった。
国内初、医師主導治験でコンパニオン診断薬も同時開発・承認される
また、同医師主導治験の結果に基づき、ハーセプチンの唾液腺がん患者に対するコンパニオン診断薬として、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社のHER2 IHC(製品名:ベンタナ ultraViewパスウェーHER2(4B5))およびHER2 ISH検査キット(製品名:ベンタナ DISH HER2キット)が11月11日に承認された。
医師主導治験において、治療薬とともにコンパニオン診断薬が同時開発・同時薬事承認された例は国内初となる。
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・北海道大学病院 プレスリリース