薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は22日、バイオジェン・ジャパンが承認申請したアルツハイマー病(AD)治療薬「アデュヘルム点滴静注170mg、同300mg」(一般名:アデュカヌマブ)について、現行のデータでは承認せず、継続審議とすることを決定した。現時点で得られたデータから、同剤の有効性を明確に判断することは困難とした。今後実施される適切なデザインの臨床試験の成績等に基づき、有効性と安全性について再検討した追加データが提出された段階で再審議を行う。追加試験が必要になれば一定程度の年数が必要になる見通しで、AD治療薬として初の疾患修飾薬の承認は遠のくことになった。
部会では、▽申請の根拠とされたAD患者を対象としたアデュカヌマブの二つの国際共同第III相試験「ENGAGE試験」「EMERGE試験」の結果に一貫性がないこと▽探索的な評価項目である脳内アミロイドβプラーク低下の臨床的意義が確立していないこと▽同剤の投与によって脳の浮腫や出血などが見られること――の3点で、アデュカヌマブの承認を見送った。