特定用途医薬品は、小児に対する用法・用量が設定されていないなど、医療上のニーズが著しく充足していない医薬品の研究開発を促すため、医薬品医療機器等法(薬機法)の改正で昨年に新設された指定制度。通常、1年の承認審査期間を要するが、9カ月間への短縮が可能となり、薬価上の評価も検討されている。
指定要件として、既承認医薬品のうち、▽用法・用量の変更または剤形追加を行う▽既存の治療法、予防法、診断法がない、または小児に対する既存の治療法等より医療上の有用性の高い治療法等が必要▽適応疾患が重篤で国際的ガイドライン等で標準的な治療法として確立している――の全てを満たす必要がある。
ファイザーは同剤の効能・効果に「小児における非挿管での非侵襲的な処置および検査時の鎮静」を追加する要望を厚労省に提出。
検討会議に先立って行われたワーキンググループの評価では、MRIや脳波検査等の検査や処置の際に小児では自発的に安静を得ることが困難で鎮静が必要とし、今回の開発提案は「用法・用量の変更」に当たるとした。
小児の鎮静に関する効能・効果を得ている既承認薬では投与後から作用発現までに30~60分かかり、速やかな鎮静の導入に適さないなどとして、「既存の治療法等よりも医療上の有用性の高い治療法等が必要」と判断。
同剤を重篤な疾患の診断や治療に不可欠な検査を迅速で正確に行うために用いるとして、「適応疾患が重篤」などの要件も満たしているとした。
ただ、国際共同試験として無作為化二重盲検比較試験が実施されているため、同試験の結果を踏まえて用法・用量を検討する必要があるとした。
■不妊治療の公知申請「妥当」
また、同会議は20日、日本生殖医学会から要望があった不妊治療で用いられる医薬品5成分6件の公知申請を妥当と判断した。
今回、公知申請が妥当と判断されたのは、▽ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(要望効能・効果:生殖補助医療における卵胞成熟)▽ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(一般不妊治療における排卵誘発・黄体化)▽ヒト下垂体性腺刺激ホルモン(生殖補助医療における調節卵巣刺激)▽ナファレリン酢酸塩水和物(生殖補助医療における早発排卵の防止)▽ブセレリン酢酸塩(生殖補助医療における早発排卵の防止)▽レトロゾール(多襄胞性卵巣症候群の排卵誘発)――の6件。
薬事承認を受けた不妊治療薬は、来年4月から保険適用とすることが15日の中央社会保険医療協議会総会で了承されている。