政府は17日、ファイザーが新型コロナウイルス感染症を対象に開発中の経口抗ウイルス薬「PF-07321332」と併用薬「リトナビル」について、日本での承認を前提に200万人分の供給を受けることで合意書を締結した。既にMSDとは新型コロナ経口治療薬「モルヌピラビル」の承認後に160万回分の供給を受けることで合意済みで、経口コロナ抗ウイルス薬を確保するのは2製品目となる。
17日に行われた岸田文雄首相と米ファイザーのアルバート・ブーラCEOとの電話会談で基本合意した。
「PF-07321332」はウイルスの増殖に必要な酵素である新型コロナウイルスのメインプロテアーゼの作用を阻害するよう設計された経口抗ウイルス薬。「PF-07321332」の代謝を遅らせる低用量リトナビルを併用することで、新型コロナウイルス感染症の重症化を軽減し、発症を予防できる。
両剤を併用したグローバル第II/III相試験の中間解析では、入院していない高リスクの成人新型コロナウイルス感染症患者の入院・死亡リスクが89%減少した。米国では緊急使用許可を取得しており、臨床試験を実施中。日本での承認申請は規制当局と協議中。
政府は、「次の感染拡大を見据えた安心確保のための取り組みの全体像」で、感染力が2倍となった場合には、今夏の感染拡大の実績等を考慮すれば軽症から中等症の重症化リスクがある人向けに最大で約35万回分の治療薬、感染力が3倍になると最大で約50万回分の治療薬が必要になると想定している。MSDが承認申請中のモルヌピラビルは160万回分の供給を受けることで基本合意した。
後藤茂之厚生労働相は、同日の会見で、「モルヌピラビルと作用の仕組みが異なる二つ目の経口薬の確保のメドが立ったことは、さらなる国民の安心につながるもの」とし、「納入時期など細部を詰め、最終合意に向け交渉を続けていきたい」と語った。