CRSwNP手術歴あり、または手術を勧められたことがある患者300例対象に調査
サノフィ株式会社は12月15日、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)の日本人患者を対象とした手術に関する意識調査が、アレルギー誌12月号に掲載されたと発表した。
CRSwNPの治療法は、薬物療法と外科療法があり、薬物療法においては効果が限定的なものや、副作用の懸念から長期的な投与が難しいものなど、難治例や重症例ではコントロールが容易でないのが実情だ。また、薬物治療に反応が不十分な場合は副鼻腔手術が行われるが、術後も薬物療法が必要になることも多く、再発する例もみられる。
今回の研究では、CRSwNPに対する手術歴がある、または手術を勧められたことがある300例の患者を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施。患者の意向をふまえたよりよい治療選択肢の検討が可能になるよう、論文内で手術に対する満足度と意向に焦点を当て詳細に検討したという。
手術受けない理由は、手術への恐怖心・時間の確保・経済的理由など
研究の結果、CRSwNP患者は手術の有効性に対する満足度は高い一方、安全性・不安や苦痛、経済性に関しては不満を持つ患者が一定数存在することが示された。特に、年齢が高い患者や複数回の手術を受けた患者ではその傾向が顕著だったという。
また、手術を勧められたことがあるにもかかわらず手術を受けていない理由としては、手術に対する恐怖心、時間の確保、経済的理由が上位を占めた。
プロジェクトを主導したサノフィジェンザイム免疫領域メディカル統括部長でアレルギー専門医でもある藤田浩之氏は、「重症CRSwNP患者にとって手術療法は有用な治療法であるが、本研究によって実際にはさまざまな理由で手術を希望されない(受けられない)患者が一定数いることがエビデンスとして示された」とし、「そのような患者に対しては、患者の意向を考慮して治療の選択肢を検討することが重要である可能性が示唆された」と述べている。
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