ADによる軽度認知障害と軽度ADの進行抑制を効能・効果としており、欧米に続く3番目の地域として、2020年12月に国内での承認申請が行われていた。
12月に同部会が開かれるのは異例だが、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は「有効性・安全性に関する医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査が終わったことに加え、投与対象患者数や社会的影響の大きさを考慮し、早期に結論を得るべきと考えた」と説明している。
同剤は、米バイオジェンとエーザイによる共同開発が進められていたが、2019年にAD患者を対象とした二つの国際共同第III相試験で主要評価項目を達成する可能性が低いと判断したため、開発を中止した。
しかし、バイオジェンが独自に第III相試験を解析した結果、一つの試験で同剤の認知機能・臨床症状の指標について、高用量投与群がプラセボ群と比べて78週時点でのベースラインから臨床症状の悪化を抑制し、主要評価項目を達成したと結論づけ、米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づき、同年7月に承認申請を行った。
FDAの諮問委員会が有効性を審議したところこれら2試験のエビデンスに否定的な見解が多数を占めたが、2020年6月にFDAは同剤を代理エンドポイントに基づく迅速承認の位置づけで承認すると発表。検証試験で臨床的有用性の確認を求め、確認できなかった場合は承認を取り消す可能性があるとしている。
欧州でも承認申請が行われているが、欧州医薬品庁の欧州医薬品委員会(CHMP)から承認に否定的な見解を受け、見通しが厳しくなっている。
薬価の面では、投与対象患者への維持投与量の年間コストが米国で5万6000ドルかかるとされている。2020年11月の中央社会保険医療協議会薬価専門部会では、同剤を念頭に「市場規模が従来の品目を大幅に超えることが予想され、複合的な対応が必要」などの声が支払側委員から上がっている。