厚生労働省は、米ファイザーと米モデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に指示した。国内外の若年男性で接種後に心筋炎や心膜炎が確認されているとして、「重大な副反応」の項目等にこれら疾患を追記する。
改訂対象は、ファイザーの「コミナティ筋注」と、モデルナの「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」で、共に一般名はコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン。
具体的には、「重要な基本的注意」と「重大な副反応」の項目に、心筋炎と心膜炎を追記する。
被接種者または保護者に対して、これら疾患が疑われる症状が確認された場合、速やかに医師の診療を受けるよう事前に周知することとした。
「臨床使用に基づく情報」の項目では、初回免疫として2回接種後の若年男性でこれら疾患の発現頻度が高いことが示唆されたこと、海外において、皮膚充填剤注入歴のある人で、コロナワクチン接種後に皮膚充填剤注入部位周辺の腫脹(特に顔面腫脹)が報告されていることも記載する。
モデルナ筋注について、全接種回または2回目接種を対象とした解析で、国内の10~20代の男性で、一般集団と比べて心筋炎等の報告頻度が高いことが示されている。コミナティ筋注に関しても、モデルナと同様の傾向が示された。
海外の対応を見ると、米国では、両品目の添付文書で市販後に明らかになった副反応として心筋炎等が記載されているほか、英国と欧州の添付文書でも、頻度不明の事象としてこれら疾患が記載されている。
これらを踏まえ、厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同会議で、添付文書の改訂が妥当と判断された。