後発品の供給不足問題を踏まえ、厚労省は需給バランスの把握を目的とした調査を実施。10月1日時点で出荷停止している559品目とその代替薬を含めた同一成分・同一規格の324成分規格(約4800品目)について、一部後発品メーカーの不正事案による影響を受ける前の2020年9月と2021年9月の卸から医療機関・薬局に実際に卸された流通量を比べた。
その結果、供給量が2020年9月よりも5%以上増加した成分・規格は、「アセトアミノフェン錠200mg」「オランザピン錠10mg」などで全体の86%を占めた。
一方、供給量が20%以上減少したのは「イトラコナゾール錠200」「プランルカスト錠112.5mg」などで全体の14%となった。
調査結果を踏まえ、厚労省は当面の対策として、供給量が増加したものについては、供給量が十分な水準にある医薬品のリストを提示し、医療関係者に周知する。その上で、日本製薬団体連合会を通じ、年内をメドにこれら品目の製造販売業者全社に出荷調整の解除を依頼するとした。
ただ、品目ごとの供給量も把握する必要があるとして、日薬連にこれらをウェブサイトで医療機関等に情報提供するよう求めた。
供給量が不足しているものに関しては、供給が不足している医薬品のリストを厚労省が提示し、関係学会と代替薬への処方変更、優先的に供給すべき患者について調整した上で周知する。製造販売業者と卸売業者に対しては、これら医薬品の出荷調整に関する協力を引き続き依頼する。
日薬連を通じて優先的にこれら品目を増産するよう依頼し、必要に応じて厚労省が製造販売業者に個別に求めるとした。
一方、日々変化する供給状況に対応するため、今後は業界団体で定期的に供給実態を把握する調査を行った上で、厚労省に報告するよう求めた。調査結果は、厚労省が医療関係者等に周知する。
安藤公一医政局経済課長は、「マクロで見ると意外に供給量があったと感じるが、品目ベースで見ると凸凹があってどうしても不足するとの話もある」との認識を示した。
今後の対応方針については、「後発品のビジネスモデルなど、問題の本質にメスを入れないと同様の問題が起きかねないが、もう少し検証が必要になる。調査結果に対する世間の反応を踏まえ、業界団体と一緒に改善していきたい」と話している。