指定難病CTEPH、国内患者数は約4,200人
国立循環器病研究センターは12月8日、セレキシパグ(製品名:ウプトラビ(R))について、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する国内第3相試験の結果を発表した。この研究は、同研究センター心臓血管内科部門肺循環科・肺高血圧先端医学研究部の大郷剛氏らを中心とした、国内多施設研究グループによるもの。研究成果は、「European respiratory journal」にオンライン掲載されている。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は、慢性的な肺血管内の血栓閉塞で肺動脈圧が上昇し、心臓機能が低下する生命予後の悪い病気。国内の患者数は約4,200人とされ、指定難病に認定されている。
治療法としては、外科手術ができない場合にカテーテル治療、あるいは肺動脈を広げる作用を持つ内服薬での薬物治療がある。新たな内服薬の選択肢としては、肺動脈性肺高血圧症において、すでに適応のあるセレキシパグ内服が考えられているが、その有効性は不明だった。
肺血管抵抗値、セレキシパグ内服で有意に改善
今回の試験では、国内42施設の多施設共同研究で慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者78人を、セレキシパグ内服群とプラセボ内服群に分け、20有効性、安全性を比較評価した。
主要評価として、生命予後に関係する肺血管抵抗の値が、セレキシパグ内服の患者でプラセボ内服の患者より有意に改善したことを確認。安全性としては、セレキシパグ投与の継続に影響のある重篤な副作用はなかったとしている。
今後、長期的な効果なども確認
今後、慢性血栓性肺高血圧症におけるセレキシパグ内服による運動能力の改善や生命予後の改善の効果などのさらなる有効性や、長期的な効果なども確認していく必要がある。また、慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるセレキシパグを含めた、新たな治療指針を作成していく必要性があると考えられる、と研究グループは述べている。
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・国立循環器病研究センター プレスリリース