論点整理案では革新的医薬品の薬価について対応方針を示した。「先駆的医薬品」と「特定用途医薬品」を開発した場合、収載時と収載後のそれぞれで有用性加算、新薬創出等加算の適用を行えるようにする。新薬創出等加算の企業指標を1品目につき2ポイント計上し、補正加算は先駆的加算として10~20%、特定用途加算として5~20%で評価する。
市場拡大再算定の対象品で連座的に薬価を引き下げる類似品の取り扱いについて製薬業界に配慮した。再算定の特例となる対象品と類似品の薬価が引き下げられた後、短期間に繰り返し再算定の対象となる場合もあり、再算定ルール適用後の3年間は再算定の類似品として適用除外となるよう検討を行う。
また、類似薬がない場合に原材料費、製造経費等を積み上げる原価計算方式については、開示度に応じて補正加算の額を減額する。原価計算方式における製造原価の開示度50%未満の品目全てで加算係数をゼロとする見直しを提案した。
新規後発品の薬価算定については、毎年薬価改定が導入されて間もなく、今後、薬価への影響等を見ていく必要があるため、先発品の薬価に0.5を乗じた額となる現行ルールを維持することを検討する。
■原価方式の加算で反論‐製薬団体が意見陳述
3日に行われた部会では、関係業界団体からの意見陳述が行われ、再算定ルールの適用対象外とする猶予期間を3年間ではなく5年間に延長するよう求める意見が上がった。米国研究製薬工業会はこれまでの市場拡大再算定の特例の対象となった品目の薬価引き下げ率の平均が25.6%であり、平均的な薬価改定率が6.0%程度と影響が大きいことを踏まえ、「通常改定1回分の猶予では不十分であり、少なくとも2回分の5年間の猶予は必要」と説明した。
日本製薬工業協会の岡田安史会長も「現行の特例拡大再算定はマイナス50%の引き下げ率と大きく、短期間のうちに類似品も引き下げられる。薬価の予見性が乏しく企業の影響も甚大であり、改定1回分では引き下げを埋めるのは難しく、せめて2回分となる5年間の猶予をお願いしたい」と要望した。
一方、製造原価などの開示度50%未満の品目について加算係数を現在の0.2からゼロとする対応については実施すべきではないと反論した。
欧州製薬団体連合会(EFPIA)の岩屋孝彦会長は、「他社との取引関係や製造・輸入形態によっては詳細な情報を入手することが困難な場合があり、結果として開示度が低くならざるを得ない事例も存在する」とし、「開示度50%未満の品目に対し一律に厳しいルールを設けることは、開示に向けた取り組みを阻害する可能性があることから、例えば開示度20%未満などの段階を設けることなどについても検討が必要」と訴えた。