オンライン服薬指導をめぐっては、昨年4月に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う時限的・特例的措置で初回からの実施が可能になり、薬機法でも同様の位置づけにするかを検討していた。
改定案では初回からのオンライン服薬指導が実施可能になるよう要件を見直す。オンライン診療と訪問診療以外で交付した処方箋でも実施が可能とした。
薬剤師が患者に関する情報を把握した上で、薬学的知見に基づきオンライン服薬指導の実施可否を判断する必要があることを明記する。
オンライン服薬指導の実施に当たっては、同一の薬剤師が直接の対面による服薬指導を組み合わせて行うことを原則とし、やむを得ない場合は予め患者の同意を得ていれば、当該薬局の他の薬剤師がかかりつけの薬剤師と連携して行うことは妨げないとした。
注射薬や吸入薬など使用に当たって手技が必要な薬剤については、受診時の医師による指導の状況や患者の理解度などに応じ、薬剤師がオンライン服薬指導を適切に行うことが可能と判断した場合に限り、実施することとした。
また、オンライン服薬指導を行うに当たり、患者に初めて調剤する薬剤については、▽事前に薬剤情報提供文書等を患者に送付してから服薬指導を実施する▽薬剤が患者の手元に到着後速やかに薬剤の使用方法の説明などを行う▽薬剤交付後の服用期間中に、服薬状況の把握や副作用の確認などを実施する▽患者の服薬状況等の必要な情報を処方した医師にフィードバックする――などの要件を新たに規定した。
介護施設の患者に対する初回のオンライン服薬指導も認める。留意事項として、患者ごとにオンライン服薬指導の実施可否を判断すること、複数人が入居する居室の場合において患者のプライバシーに十分配慮された環境でオンライン服薬指導を行うこと、患者の状態などで薬剤師が介護者の付き添いが必要と判断した場合は介護者などを同席させることも規定した。
薬局開設者は、オンライン服薬指導を実施する薬剤師に必須となる知識を習得するため、厚労省が定める研修を受講させなければならないことを明記。オンライン服薬指導を行う場合に、オンライン服薬指導を行う時間や使用可能な情報通信機器、薬剤の配送方法、代金引換サービスやクレジットカード決済など費用の支払い方法について薬局内の掲示やホームページの掲載を通じて周知するよう求める。
12月末まで意見募集を行い、2021年度中に公布する。今後の検討課題は、初診のオンライン診療が認められた場合の運用体制だ。初診のオンライン診療は抗精神病薬や麻薬などハイリスク薬の処方は対象外とする方向性だが、オンライン服薬指導については薬剤師が工夫して対応すれば初回からハイリスク薬を対象としても差し支えないとの考えを示す。
厚労省は、「医療機関で処方されたハイリスク薬について、初回からオンライン服薬指導を行う際の留意事項を通知などで示したい」としている。