2020年の調剤医療費で技術料約1兆9000億円のうち、調剤料は約8100億円を占めた一方、対人業務に相当する薬学管理料は約3700億円と2割程度にとどまる。
有澤氏は、「調剤行為は対物業務と対人業務が複合的に入り組んだ評価となってしまっており、対物業務と対人業務を単純に線引きしてできるものではない。調剤料の占める割合が高いといっても、薬局が対物業務ばかりしているというものではない」と説明。
その上で、「複合的に入り組んでいる調剤料の評価について整理可能なところは整理し、調剤料における対物業務と対人業務の加算も含めて整理していくことは一つの方策ではないか」と提案した。
ただ、調剤料の評価を変えることについては「現場への影響が非常に大きく、激変緩和を考慮しながら、その動かした評価の影響を見つつ、累次の改定を経て段階的に慎重に進めていく必要があることを強く要望したい」と訴えた。
厚生労働省は、薬局での調剤業務について、▽患者情報等の分析・評価▽処方内容の薬学的分析▽調剤設計▽患者への服薬指導・薬剤の交付▽調剤録、薬歴の作成――は、患者の状態や処方内容等に応じた薬剤師による薬学的判断を伴い、対人業務的な要素を含むとした。
城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「調製や取り揃え、監査は明確に対物業務であり、調剤料として整理されるべき。患者情報等の分析・評価や処方内容の薬学的分析、調剤設計は薬学管理料として見直せるか検討してはどうか」と提案した。
これに対し、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「患者情報等の分析・評価や処方内容の薬学的分析、調剤設計は既存の薬学管理料で評価されているものもある。調剤業務や報酬の考え方はもう少し議論する必要がある」とした。
一方、大学病院などで誘致が進む同一敷地内薬局については、診療・支払両側から「調剤基本料のより厳しい適正化が必要」との声が相次いだ。
城守氏は「調剤基本料の要件設定の趣旨を踏まえていない。制度の抜け道を一つひとつふさぐような対処方法には限界がある」と指摘。「敷地内薬局は病院薬剤部が行う業務の外注のような形態とみなせる。報酬を医科点数の調剤に準ずるとし、投与日数に関係なく内服薬11点、外用薬8点とし、加算も同様にすべき」と院内処方と同じ取り扱いを求めた。