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【医薬品医療機器制度部会】緊急時薬事承認で議論開始-安全性担保が導入の前提に

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2021年11月22日 AM10:15

厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は18日、緊急時の薬事承認のあり方に関する議論を開始した。委員からは緊急時の薬事承認制度を導入するに当たって、国内臨床試験を実施して安全性を確保することや市販後安全調査の範囲・頻度を拡大した上で、リスクがベネフィットを上回る場合は承認取り消しを求める声などが相次いだ。厚生労働省は、年内に一定の方向性を示したい考え。

新型コロナウイルス感染拡大下の対応を踏まえ、政府は新興感染症発生など緊急時のワクチンや治療薬等の薬事承認のあり方について検討した上で、年内に方向性に関する結論を得る方針を示している。

迅速に医療現場に届ける必要があるコロナワクチン等について、現行制度では、一部の諸外国で販売が認められた製品を特例承認の枠組みで対応してきたが、日本が海外に先駆けて開発した製品を医療現場で緊急使用できる制度はない。

一方、米国では生物学的緊急事態下と判断し、ベネフィットがリスクを上回る等の基準を満たした製品に、緊急使用許可(EUA)を与えている。

これらを踏まえ、厚労省は、▽発動の要件▽運用基準▽承認の期限・条件▽市販後の対応――を緊急時の薬事承認を制度設計する上での論点として示し、委員間で意見交換した。

北澤京子委員(京都薬科大学客員教授)は、「EUAでは何らかの臨床試験を行った上で有効性を推定するデータを出している」として、「国内でも臨床試験を迅速に実施でき、エビデンスと呼べるデータを出せる体制を作らなければ制度は導入できない」と訴えた。

猪口雄二委員(日本医師会副会長)も、「特例承認でも海外で臨床第III相試験まで実施している。安全性について、かなり安全との確証がない限り導入すべきでない」とした。

市販後対応の重要性を強調した森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「全例調査も視野に入れて検討すべきで、通常よりも頻度を増やして行う必要がある」と述べた上で、「新たに確認されたリスクが重大で、ベネフィットを上回ると認められた場合は、すぐに承認を取り消す措置が必要」との考えを示した。

赤池昭紀委員(和歌山県立医科大学薬学部教授)は、緊急承認を経た後に正式な承認を得る製品の登場を想定し、リアルワールドデータ(RWD)を有効性・安全性評価ツールに活用することを提案。「RWDを使うかどうか、使うならばどのような条件にするかなども検討すべき重要課題」とした。

遠藤秀樹委員(日本歯科医師会副会長)は、「安全性の確保が最重要だが、当然リスクが生じるので、全てを民間が負うのはきつい」として、「何らかの問題が生じた場合は国が前面に立ち、救済措置、医療者の免責を含めたサポート体制を作るべき」と求めた。

伊藤由希子委員(津田塾大学総合政策学部教授)は「どのような事態が緊急時なのか、定義を可能な限り明確にしてほしい」と注文をつけ、森氏も「発動要件として特例承認と同様のものを想定しているというが、緊急時とは何かを検討すべき」と同調した。

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