この日の分科会で財務省は、「調剤報酬は薬学管理など価値のあるサービスを提供する薬局・薬剤師を評価する方向にシフトしていくべき」と強調。技術料の割合は調剤基本料が約3割、調剤料が約5割、薬学管理料が約2割とほとんど変化しておらず、調剤基本料や調剤料に依存した収益構造が継続していることから、「対物業務から対人業務への構造転換を後押しする調剤報酬改定としなければならない」と見直しを求めた。
その中でかかりつけ薬局への評価は、調剤基本料のうち地域支援体制加算の実績要件が「地域連携薬局の制度面での対応との整合性が明確ではない」と指摘。地域連携薬局に対して調剤報酬上の評価を行うこととし、外来医療でかかりつけ医以外の受診への定額負担が導入されるのに合わせ、「かかりつけ薬局・薬剤師」以外の処方箋受付における負担のあり方についても検討するよう提言した。
同一敷地内薬局に対しては、「医薬分業の趣旨を損ねるものであり、調剤基本料の適正化を一段と強力に進めることはもちろん、規制的手法を用いて薬局のあり方を正していくべき」と批判。後発品調剤体制加算については加算制度の廃止に加え、減算の対象も大幅に拡大するなど減算を中心とした制度に見直すよう求めた。
また、医療機関に行かずとも一定期間内に処方箋を反復利用できる方策については、生活習慣病等に対象を限って導入すべきとし、多剤・重複投薬は減算等の措置を導入すべきとした。
一方、薬価制度については年4回、薬事承認が行われた薬剤が全て収載される現行制度を「薬剤費が大きく増加する背景」と問題視。高額医薬品が登場していることを踏まえ、財政影響を勘案して新薬の保険収載の可否を判断することや、新薬を保険収載する場合には保険収載と既存医薬品の保険給付範囲の見直しとを財政中立で行うことも含め、保険適用された医薬品に対する予算統制のあり方の抜本的見直しを求めた。
経済成長率の見通しなどマクロ指標による政策目標に合わせて、薬剤費の総額上限を設定する薬価総額のマクロ経済スライドを導入することも「十分に考慮に値する」とした。市場実勢価格の加重平均値に対して上乗せを行う調整幅については、2022年度薬価改定で「調整幅の廃止に向けたロードマップを示しつつ、段階的縮小を実現すべき」と主張した。