喫煙歴ありCOPD罹患リスクを有する成人880人、COPD患者373人対象
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は10月22日、全国の喫煙歴のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)罹患リスクを有する成人およびCOPD患者を対象に、インターネット調査を実施した結果を発表した。
画像はリリースより
COPDは、肺を出入りする空気の流れが制限される進行性疾患であり、これまでに推定2億5100万人がCOPDと診断されている。COPDの病態は進行性だが、ほとんどの患者は、適切な薬物療法と治療計画でCOPDを管理することができる。
今回の調査は、2021年7月8日~14日の期間、日本におけるCOPD診断率向上のための問題点の把握を目的にインターネット調査で実施した。対象者は、COPDリスクを有する成人(n=880、以下、リスク層)、COPD患者(n=373、以下、患者)。リスク層は、通算の喫煙歴が20年以上で、COPDの診断がされていない50~60代。患者は、喫煙歴があり、医療機関でCOPDの確定診断がされている50~70代を対象とした。
リスク層47%に症状あり、そのうち68%が症状を改善したいと思いながらも、受診行動をとったのは18%
同調査の結果、リスク層の74%はCOPDという疾患を認知していた。リスク層の47%に症状があり、そのうち68%が症状を改善したいと思いながらも、実際に受診行動をとったのは18%だった。受診行動をとらない理由としては、「通院するほど症状がひどくないから」(51%)、「加齢による症状で仕方ないと思っていたから」(40%)、「病気だと思っていなかったから」(29%)があげられた。
続いて、患者では、COPDの特徴のうち、「重症になると酸素吸入が必要になる」、「新型コロナ感染症による肺炎の重症化因子である」、「気づかないうちに進行する」を知っている割合がそれぞれ74%、44%、38%であるのに対し、リスク層では、それぞれ31%、20%、20%という結果に。COPDの特徴を事前に知っていた場合、受診時期が早まるかを確認すると、患者の45%が、受診が早期化すると回答。早期化する理由は、「重症になると酸素吸入が必要になることを知った」(60%)、「気づかないうちに進行することを知った」(43%)だった。そのため、リスク層がこれらの特徴を知ることにより、早期受診に至る可能性があることがうかがえた。
患者の現在の治療への満足度は、「とても満足している」が2%、「満足している」が16%、今後の治療に望むことは、病気の進行を止める・完治することを含めた「症状改善」や「効果の高い薬剤」が34%であることから、現在の治療効果に満足していない患者の割合が高いことが示された。
COPDは新型コロナ重症化のリスク因子にも、早期診断・適切な管理が重要に
日本では、40歳以上の約530万人、70歳以上の約210万人がCOPDに罹患していると推定されている。しかし、2017年の厚生労働省の患者調査によると、1999年~2005年のCOPD患者数は21~22万人であることから、未受診のCOPD患者が500万人以上いると推定される。
COPDの主な自覚症状が労作時の息切れ、咳・痰であることから、これらの症状がCOPDによるものであると気づかず、確定診断や治療開始が遅れる可能性がある。また、COPDは新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子であることも報告されており、早期に診断し、適切な管理を行うことが重要であると考えられる。
同社は、日本のCOPD患者の症状改善とクオリティオブライフの改善を目指し、リスク層の早期受診につながるように、WEBサイトやポスターを用いた疾患啓発活動に引き続き取り組んでいくとしている。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース