厚生労働省は今年度、国立感染症研究所による研究で新型コロナウイルス感染症の抗体保有疫学調査を実施する。宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の住民が対象で、12月に1万5000人、来年2月に1万5000人の計3万人を無作為抽出し、調査を行う。
国内の検査陽性者数は10月27日現在で171万人だが、実際の感染者数は検査で把握している人数よりも多く存在することが推測されている。調査は対象地域から無作為に抽出した住民に抗体検査への協力を依頼し、同意を得た住民のみ新型コロナウイルスのS蛋白質とN蛋白質に対する2種類の抗体を検出する。
抗S抗体はワクチン接種後とウイルス感染後に体内で産生される抗体である一方、抗N抗体はウイルスに感染した場合のみ産生され、ワクチン接種者とウイルス感染者を区別して抗体保有率を調査することが可能。無症状者を含め陽性者の実態を把握し、今後の新型コロナウイルス感染症対策に役立てる。
2020年度も6月と12月の2回、今回と同じ5都府県で抗体保有率疫学調査を実施していた。ただ、前回は抗N抗体のみの保有率調査となっており、抗S抗体と抗N抗体の保有率を調べるのは今回が初めてとなる。