澤井光郎会長は、小林化工、日医工、長生堂製薬が相次ぐ製造不正で行政処分を受けたことについて、「誠に申し訳なく思っている。点検がおろそかにならないよう一層の厳しい姿勢で取り組みを進めていかなければならない」と語った。
これら不正事案が発生した要因について、「経営者の関連法令を遵守する意識が欠如していたこと、不健全な企業文化であったこと、企業としてのガバナンスが欠如していたこと、長年にわたり組織体制の不備を黙認してきたことである」と総括した。事案発生時に情報提供が遅れたことも「社会を混乱させ、さらにその後の供給見通しなど不適切な対応が医薬品の信頼性を著しく失墜させた」と述べた。
その上で、今後の信頼回復に向けた対応について、▽コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化▽品質を最優先する体制の強化▽安定確保への取り組み▽積極的な情報の提供と開示――などに取り組むと表明。
コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化に向けては、25日付の会員企業への通知で、経営者自らが社員に対して法令を厳格に遵守する宣言を出すよう要請した。コンプライアンスの遵守・徹底状況を客観的に評価する仕組みの導入や、経営トップ自らが製造現場訪問を行い製造実態を把握することも求めた。
協会内の公益通報制度や各社の内部通報制度の充実を図ることも進めていく。品質を最優先する体制の強化に向けては、現在実施している会員企業の自主点検に加え、第三者による監査制度の試行的導入を検討するとした。
後発品の供給不足に関する問題が解消するには半年はかかるとの見通しだ。澤井氏は「会員企業も工場をフル回転させて増産を進めるなどできることをやっているが、残業により労働時間を長くすることや人員増しかなす術がなく、供給不足の解消は難しい。今作れていない企業が作れるようになること、作った製品は市場に出していくことしか解消の方法はない」と吐露。短期的には問題解決は難しいため、コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメント強化を通じて、長期的視点で信頼回復を図る考えを示した。