■厚労省が調査
かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者に「かかりつけ薬剤師以外が対応する場合がある」と回答した薬局が全体の約6割に上ることが厚生労働省が実施した調査結果の速報値で明らかになった。かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の担当者を「あらかじめ決めている」と回答した薬局は約9%にとどまり、患者への指導内容や相談への返答でかかりつけ薬剤師と変わらないように対応することができていない可能性が懸念される結果となった。
厚労省が22日の中央社会保険医療協議会総会で、「薬局の機能に係る実態調査」(2021年度医療課委託調査)の速報値を公表した。
767薬局を対象に、「通常かかりつけ薬剤師指導料等を算定している患者に、かかりつけ薬剤師以外が対応する場合がある」と回答したのが全体の61.8%を占めた。かかりつけ薬剤師以外が対応する場合を複数回答で聞いたところ、「担当が勤務外の時」が90.9%と圧倒的に多く、「担当が他業務中」が56.6%と続いた。「患者から依頼があった時」は1.1%と少なかった。
かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の担当者は「その時対応できる者が行う」が91.4%と9割以上を占め、「あらかじめ決めている」は8.6%にとどまった。
かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の体制は、対応者が決まっている薬局、その時に対応できる者が行う薬局共に「薬局で申し送り事項が共有されている」が最多で、それぞれ78.1%、85.6%となった。
続いて、「薬歴に申し送り事項を記録している」が68.8%、71.6%、「服薬指導結果をかかりつけ薬剤師に報告している」が53.1%、46.6%、「事前にかかりつけ薬剤師により申し送りを受けている」が40.6%、20.5%、「服薬期間中にかかりつけ薬剤師がフォローアップしている」が12.5%、18.2%だった。
一方、かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の課題については、「特に問題がない」が対応者が決まっている薬局で40.6%、そのとき対応できる者が行う薬局で29.9%となり、半数強の薬局は課題を抱えていた。また、かかりつけ薬剤師以外が対応する場合にも、薬局内で対応者を決めていた方が対応に問題が少ないことも分かった。
課題については、「薬剤師によって指導内容や相談への返答が変わらないように注意する必要がある」が対応者が決まっている薬局で37.5%、そのとき対応できる者が行う薬局で55.1%だった。「患者の状況等が十分に把握できていない」はそれぞれ21.9%、26.1%、「服薬指導中に患者からの聞き取りが難しい」が18.8%、11.4%となった。