薬剤服用歴管理指導料は、薬剤の服用に関する基本的な説明や患者に必要な服薬指導、薬剤服用歴への記録の業務で点数が算定されている。厚生労働省は、767薬局を対象に行った調査で、薬剤情報提供・服薬指導の平均所要時間について薬剤種類数が6種類未満の場合は1回当たり約5.1分に対し多剤調剤時(6種類以上)の場合は1回当たり約9.0分と説明時間が長くなるとの結果を踏まえ、薬剤服用歴管理指導料に関する評価の見直しを論点として示した。
有澤氏は、「決して薬剤の種類数ありきではないが、種類数が多くなれば薬剤の飲み合わせや相互作用、副作用など薬学的知見で複雑になる。薬学的判断も含め指導時間や薬歴記入など所要時間が長くなるので検討が必要」と述べ、さらなる評価の拡充を求めた。
ただ、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「薬剤服用歴管理指導料は技術料として算定されており、これに加算を付けることは対人業務とはいえ、薬局薬剤師改革に対する逆行だ。調剤基本料と薬剤服用歴管理指導料、調剤料、薬価差で成り立つ薬局経営を助長するもので明確に反対する」と厳しく批判した。
その上で、「薬歴指導は薬剤師の本来業務であり、薬剤師の力量を発揮する場面だ。説明時間が長いから短いからといって点数に差を付けるのは違う」と主張した。
安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も「同じ種類の薬剤が反復して使われている場合は薬剤の説明に比較的時間を要さないことも考えられ、重複投薬を見直す阻害要因にもなりかねないので慎重に検討していくべき」と同調した。
間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「薬が増えることで患者の自己負担が増えることは避けてもらいたいので、反対したい」と発言し、城守国斗委員(日本医師会常任理事)も「診察の結果でDo処方になった場合は薬局での説明に多くの時間は取らない。薬剤数を基準にするのではなくメリハリを付けた評価が必要」との考えを示した。
医療的ケア児に対する薬学的管理指導については、規格用量に満たない薬用量を調節するため粉砕や脱カプセルなどの製剤加工が多く行われる中、「対物業務の側面があり、対人業務としての評価でいいのか整理が必要」との指摘も出た。