第一三共は21日、新型コロナウイルス感染症を対象としたmRNAワクチン「DS-5670」の国内第I/II相試験で、中和活性の上昇が確認されたと発表した。これを受け、11月から国内第II相試験を開始し、2021年度内には国内第III相試験を開始する予定。22年中の実用化を目指す。
同社は3月に、健康成人と高齢者対象の新型コロナウイルス感染症に対する「DS-5670」の2回接種時の安全性・免疫原性を評価し、推奨用量を検討する国内第I/II相試験を開始した。
その結果、安全性については、健常成人と高齢者142人において、2回目投与4週間後までに大きな問題は見られず、免疫原性については投与後に中和活性と抗原特異的な免疫反応の指標であるIgG価の上昇が認められた。
また、東京大学医科学研究所と共同で実施している非臨床試験では、デルタ株を含む新型コロナウイルス変異株に対する中和活性を誘導することも示された。
この結果を受け、同社は11月から国内第II相試験を開始し、21年度内に国内第III相試験の開始を予定。22年中の実用化を目指している。
さらに、2022年1月からワクチンを接種済みの人へのブースター接種の臨床試験を開始するため、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本医療研究開発機構(AMED)などと協議を進めていく。
「DS-5670」は、同社が見出した新規核酸送達技術を用いたmRNAワクチン。AMEDの支援を受け、東京大学医科学研究所と連携して開発を進めている。