部会では、次期薬価改定に向けて、▽革新的医薬品のイノベーション評価▽医薬品医療機器等法で新設された特定用途医薬品や先駆的医薬品の薬価上の評価▽原価計算方式のあり方▽基礎的医薬品のあり方――などを議論した。
原価計算方式のあり方については、2018年度改定で製品総原価のうち薬価算定組織で開示が可能な部分の割合に応じて、補正加算の加算率に差を設けた。ただ、18年度以降に薬価算定方式で算定された47成分のうち、開示度が50%未満のものは24成分を占めている。
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「開示率が低い品目については、加算率をさらに引き下げる検討を行うべき」と述べた上で、「現行制度は開示度に応じて加算係数に差が設けられているが、加算対象とならない場合に薬価に反映されるよう、移転価格の原価に係数を乗じる方法も検討に値する」と提案した。
有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「原価計算方式は加算係数を厳格化せざるを得ない。開示されない移転価格に含まれる営業利益については、実際の申請のあった企業に過去の実績で実際の数字を提供してもらうよう協力を求める必要がある」と語った。
支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も「開示度に応じた引き下げを検討すべき」、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「原価計算方式で中身が分からない移転価格は何らかの策を講じないといけない。移転価格がそのまま原材料費になる場合は営業利益率のみに加算するルールも検討していいのでは」と見直しを求めた。
一方、基礎的医薬品と安定確保医薬品のあり方について、城守氏は「基礎的医薬品の安定確保は大事な問題だが、安定供給の問題は製薬企業のコンプライアンスに原因があったものが多く含まれている。安定確保医薬品全てに安易に薬価上の手当てを行うのは適切ではない」と発言。最も優先度が高いグループに限定し、基礎的医薬品の要件に該当するかを確認した上で、薬価の下支えが必要なもののみを対応するよう求め、「企業のコンプライアンス向上に向けた取り組みがまず必要ではないか」との考えを示した。