費用対効果評価制度は、市場規模が大きい、著しく単価が高い医薬品・医療機器を対象に、既存の比較対照品目と比較して、費用、効果がどれだけ増加するかを分析し、評価結果に基づき価格調整を行うもの。現行制度は、分析結果が比較対象品目に対し効果が同等で、費用が増加する対象集団について区分の設定や価格調整の取り扱いは規定されていなかった。
この日の部会で厚労省は、価格調整を行うに当たって効果が同等で、費用が増加する場合は最も小さな価格調整係数を用いることを提案。
品目指定から企業分析提出時まで9カ月と定められている企業分析期間を超過した場合の取り扱いについても、事前に企業に理由を確認し、その理由が妥当性を欠くとした場合は最も小さな価格調整係数を用いるとした。
松浦満晴委員(全日本海員組合組合長代行)は、「価格調整に当たり分析期間超過の理由を確認することは異論はない。ただ、超過が起きないようにすることが最も重要」とし、分析前協議で十分に調整を行う必要性を訴えた。
池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、「分析期間の超過について賛同するが、最も小さい価格調整係数は大きなペナルティだ。分析前協議をしっかり行うことや、どういった理由であれば妥当性があるかを示してもらえれば、企業にとって良いので検討してほしい」と要望した。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「費用増加した場合の最小値で評価することは当然のこと」とし、「分析期間が超過する場合に企業側に理由があるのであれば、改めて期限を設定することが必要」と述べた。
それに対し、業界代表の赤名正臣専門委員(エーザイ常務執行役)は、「QOLの尺度で判断できない場合は最小の係数ではなく、中間の係数にするなど検討が必要」と慎重な対応を求めた。
一方、企業の知的所有財産に配慮し、公開を求めていなかった分析対象集団の患者割合についても、企業の情報開示を原則とし、公表が難しい場合はその理由について求めることを検討する。
委員からは、「理由を聞くという表現だけではなく、もう少し具体的に示してほしい」「患者数割合の公表について、企業が提出するデータは企業秘密が含まれることは十分に想定される。全てを公表するのは慎重に検討してほしい」との意見が上がった。