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肥満度とニンジン摂取頻度の関連に影響するSNPを発見-新潟大ほか

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2021年10月15日 AM11:45

野菜ごとの摂取頻度と遺伝子多型の間に遺伝子・環境相互作用があるかを検討

新潟大学は10月13日、肥満度と関連した野菜各種の摂取頻度と相互作用のある遺伝子多型(一塩基多型、)の分析を行った結果、肥満度とニンジンの摂取頻度との関連に影響を及ぼすSNPが存在することを発見したと発表した。この研究は、同大医学部血液・内分泌・代謝内科研究室の藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らの研究グループと、株式会社ジーンクエストが共同で行ったもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。


画像はリリースより

同じような食事をしても、なぜ人によって肥満度が違うのかという問題は、栄養学の大きな課題である。それぞれの人を作り上げている遺伝子全体の集まりをヒトゲノムといい、その基本情報の大部分は人類共通であるが、一部に見られる個体別の遺伝子の多様性(=多型)と、個体間の形質、形態、さらには生活習慣・生活習慣病との関連が、現在世界的に研究されている。野菜を多くとる人は肥満になりにくいことが、多くの研究で示されている。しかし、さまざまな野菜ごとに摂取頻度を細かく分類し、肥満度や肥満に関して、摂取頻度と遺伝子多型(一塩基多型、SNP)の間に遺伝子・環境相互作用があるかを大規模かつ詳細に検討した報告は、これまでほとんど存在していない。

研究では、日本人約1万2,000人(男性6,495人、女性5,730人)のゲノム情報とWebアンケート情報を用いた。GWASを行い、ヒトゲノム上で、肥満度や肥満に関して、それぞれの野菜の摂取頻度とSNPの間に遺伝子・環境相互作用があるかを横断的に検討した。その後、飲酒、喫煙、運動習慣、総野菜摂取などの、既知の肥満度と関連する因子の影響を除いて(補正して)、肥満度および肥満(BMI25kg/m²以上)に関して、、ブロッコリー、ホウレンソウ・コマツナ、ピーマン・サヤインゲン、カボチャ、キャベツといったそれぞれの野菜の摂取頻度と相互作用のあるSNPを検索した。その結果、見つかったSNPsが肥満度に関して、それぞれの野菜摂取と相互作用があることが示唆された。

rs4445711のGアレルをもつタイプで、ニンジンの摂取頻度の増加と肥満度・肥満の低下が関連

次に、肥満度に関してそれぞれの野菜摂取において相互作用があるSNPsの中で特に有意だったSNPに関して、肥満度と肥満について、野菜の摂取頻度とSNPの間にある遺伝子・環境相互作用について詳細に解析した。その結果、ヒト12番染色体上のSNPのひとつであるrs4445711のGアレルをもつタイプにおいて、ニンジンの摂取頻度の増加は、肥満度および肥満(の割合)と負に関連することが示された。

肥満度との関連は、飲酒、喫煙、運動習慣、総野菜摂取などの、既知の肥満度と関連する因子の影響を除いても比較的強く維持されていることもわかった。さらに、rs4445711の影響を、男性と女性、年齢別に分けてそれぞれ解析した結果、男女間で影響に差はなく、若年でより強い関連が認められた。その他の野菜に関しても同様の分析を行ったが、rs4445711と同程度に肥満度や肥満に相互的に作用するSNPはみられなかったという。

ニンジンにはカロテノイドが豊富に含まれており、βカロテンの血中濃度は糖尿病やがんの発症、インスリン抵抗性を含む炎症系の指標と関連することが報告されている。

ニンジンの摂取方法などの要因の影響を含めた検討に期待

今回の研究は、ニンジンの摂取頻度を増加させることで肥満度が低下するかを直接証明したものではなく、また、全エネルギー摂取量や調理法を含むニンジンの摂取方法、血中のカロテノイド濃度の情報などが含まれないことから、今後は、これらの要因の影響を含めたさらなる前向きの検討が期待される。

「このような遺伝子・環境相互作用の分析を活用し、肥満度や肥満に限らず、健康寿命の延伸を妨げる生活習慣病や動脈硬化疾患の予防に関して、治療や予防の個別化に役立つ科学的エビデンスを確立していく予定だ」と、研究グループは述べている。

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