米メルクは11日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症治療薬として開発中の抗ウイルス薬「モルヌピラビル」について、米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)申請を行ったと発表した。同社は今後数カ月以内に、米国以外の世界各国の規制当局にも承認申請を行っていく予定だ。緊急使用許可が得られれば、新型コロナウイルス感染症初の経口治療薬として、モルヌピラビルが先行する形で登場することになる。
今回の緊急使用許可申請は、新型コロナウイルス感染症の確定診断を受け、軽度から中等度の入院していない成人外来患者を対象に実施された国際共同第III相試験「MOVe-OUT」の中間解析結果に基づくもの。
中間解析では、主要評価項目である無作為化から29日目までに入院・死亡した患者の割合がモルヌピラビル群で7.3%、プラセボ群で14.1%と入院・死亡リスクを約50%減少させたことが判明した。モルヌピラビルを投与した患者で29日目までの死亡は報告されておらず、有害事象の発生率はモルヌピラビル群とプラセボ群で同等だった。
既に同社は、緊急使用許可を見込み、モルヌピラビルの製造を開始しており、今年末までに1000万回以上の供給を予定している。