県が5~6月に実施した一斉立入検査では、同社が製造した574品目のうち233品目に不備が認められ、承認書と異なる製造等を行っていた品目が44品目、記録上の誤記載など軽微な不備が認められた品目が189品目あった。
同社は安定性モニタリングの結果が規格に逸脱していると知りながら、回収や工場に対する必要な措置を講じず、品質保証責任者は総括製造販売責任者に必要な報告をしなかった。また、製造販売する医薬品について承認書と製造実態等が異なるにも関わらず、承認事項の変更手続きを行っていなかった。
さらに製造所は、承認書と異なる製造方法を行い、虚偽の製造指図書、製造記録、出納記録、試験成績書を作成し、製造管理の結果を適切に品質部門に報告しなかった。安定性モニタリングの結果、承認規格を逸脱していても自社で定めた手順に基づき処理しなかったほか、所要の措置も講じなかった。医薬品製造管理者から意見申述されているにも関わらず、製造業者は意見を尊重しなかった。
こうした違反行為に基づき、徳島県は同社と本社工場に31日間、本社第二工場に29日間、川内工場に18日間の業務停止命令を出した。ただ、安全対策業務や製造設備の維持管理に関する業務、製造管理と品質管理の改善に関する業務は業務停止の対象から除き、アゾセミド錠やサラゾスルファピリジン腸溶錠、タチオン錠など14品目については業務停止命令除外品目として、製造と出荷に関する業務を認める。
外部の弁護士やGMPの専門家を加えた調査委員会による調査報告書には、「承認書・手順書と齟齬する製造方法は10年以上前から行われていたものも多く存在する」と記載されており、「生産による利益の向上を重視し、納期遅延や回収を許さない経営者の強い意向と、これにより長年にわたり醸成された企業風土がある」と適切な記録を行わなかった工場の製造部門に加え、不正を黙認してきた経営陣の問題を指摘した。
同社は「患者とその家族、医療関係者、その他関係する全ての皆様に多大な迷惑をかけたことを心より深くお詫びする。今回の処分を真摯に受け止め、実効性のある業務改善計画の立案および実行を通じて、全社一丸となって再発の防止に取り組んでいく」との声明を発表。今後、業務改善命令に基づき、再発防止・改善に関する提言を踏まえた改善計画を策定し、1カ月以内に県に提出する。