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在宅がん患者の介護者、最も負担に感じていることは「時間的要因」-阪大

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2021年10月12日 AM10:45

緩和ケアの質を評価する全国遺族調査から、介護負担が大きい要因を検討

大阪大学は10月6日、日本のがん患者の緩和ケアの質の評価を目的にする大規模な全国遺族調査Japan Hospice and Palliative Care Evaluation study(J-HOPE研究)において、在宅ホスピス・緩和ケアを受けて亡くなったがん患者の介護者342人の主な介護負担は時間的要因であったことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科博士後期課程/日本学術振興会特別研究員の大槻奈緒子氏(研究当時、現:東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科・特任講師)、同大キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Supportive Care in Cancer」に掲載されている。


画像はリリースより

日本の人口の少子高齢化は深刻な問題であり、要介護高齢者も増加の一途を辿っている。増加する要介護者を減少する労働人口で支えるための社会保障の財源は逼迫している。そのため、医療の経済効率に優れた在宅医療が推進されている。在宅療養は患者の生活の質を向上させることが知られているが、その一方で介護者に大きな負担がかかることが問題視されている。しかし、介護者にとって、時間的、経済的、心理的、肉体的な負担などのさまざまな負担要因のうち、どのような要因が最も大きな負担になっているかについてはこれまでほとんど検討されていなかった。

2-3の患者で最も高く、55歳未満の介護者で高い傾向

研究グループは、2014~2018年1月に在宅ホスピス・緩和ケアを受けて亡くなったがん患者の介護者を対象にしたアンケート調査の結果を用いて、在宅がん患者の介護者にとって、時間的、経済的、心理的、肉体的な負担などのさまざまな負担要因のうち、どのような要因が最も大きな負担になっているかについて検討した。また、在宅がん患者の介護負担は、どんな患者や介護者の特徴があると負担が大きくなるのかについても調べた。

その結果、在宅がん患者の介護者の主要な介護負担は時間的要因であり、患者の要介護度が中程度群(要介護2-3)で最も高く、また55歳未満の若年介護者で高いことがわかった。

現在の日本の介護保険制度による支援が十分でない可能性

現在の日本の介護保険制度は、要介護度が高い患者に、より多くの介護サービスを提供する仕組みになっており、最も介護サービスのニーズが高い、働きながら日々忙しく親の介護をする子ども世代への支援が十分でない可能性を示唆する結果であった。「2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、ますます介護が必要な在宅療養者が増加することが予測される。増加する要介護者と介護を担う就労世代である若年の介護者を社会全体で支える仕組みづくりの再構築が望まれる」と、研究グループは述べている。

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