イムバランス、動物実験でアトピー性皮膚炎やピーナッツアレルギーに対する効果も
大阪市立大学は10月7日、大豆発酵製品イムバランスが喘息による気道炎症を抑制する効果があることを動物モデルで明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科呼吸器内科学の門谷英昭大学院生、浅井一久准教授、川口知哉教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」オンライン版に掲載されている。
画像はリリースより
気管支喘息は、持続する気道炎症により呼吸困難や咳嗽などの症状が出現する肺疾患。喘息患者の気道には、好酸球を中心とする炎症細胞が増加している。現在の気管支喘息治療は、吸入薬や抗アレルギー薬のほか、最近では生物学的製剤も使用可能となり複数の薬物を併用する治療が主体となっている。しかし、いずれも根本的な治療ではない。また、喘息発作を起こすと高用量のステロイドが使用されるが、さまざまな副作用があるため、新たな予防・治療法の確立が望まれている。
大豆の摂取とアレルギー疾患との関連は過去にも疫学的に報告されており、大豆の成分に何らかの抗アレルギー作用がある可能性が示唆されている。本研究で使用した大豆発酵製品のイムバランスは、動物実験でアトピー性皮膚炎やピーナッツアレルギーに対する効果が報告されているが、気管支喘息に対する効果は報告されていなかった。
BALF中の好酸球数が有意に減少、気管支周囲の炎症や気管支上皮の粘液産生を抑制
今回の研究では、喘息モデルマウスにイムバランスを添加した飼料を与え、イムバランスが喘息に及ぼす影響を検討した。その結果、イムバランス投与群では、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好酸球数が有意に減少し、気管支周囲の炎症や気管支上皮の粘液産生が抑制された。
また、BALF中の好酸球性炎症を誘導するサイトカインの発現を測定したところ、通常飼料を与えたマウスと比較してイムバランス投与により有意に抑制されていた。
今後は有効成分や機序の解明を
同研究において、イムバランスによる好酸球性炎症抑制効果が動物モデルで示された。今後、気管支喘息治療法の新規候補として注目され、有効成分や機序の解明が望まれるとしている。
また、現在の喘息治療に追加する副作用の少ない補完的な対処法として、大豆発酵製品の摂取を勧められる結果であるとともに、更に詳しくメカニズムを検討し創薬につなげたい、と研究グループは述べている。
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・大阪市立大学 プレスリリース