政府の規制改革推進会議医療・介護ワーキンググループは9月27日、薬剤師へのタスクシフトをテーマに、スギメディカルからヒアリングを行った。同社は、現行制度では不可能な、在宅医療における点滴薬剤の交換等の診療補助を薬剤師にも認めるよう要望。厚生労働省は、「広く検討したい」と応じた。
医師法では、医師以外が人体に危害を及ぼす恐れのある「医行為」を行うことを禁じているが、現行制度では、在宅医療における点滴薬剤の交換、褥瘡への薬剤塗布といった診療補助は、医師の指示を受けた看護師が実施できる。
ただ、薬剤師が診療補助を行うことは認められていないため、医師や看護師が患者宅を訪問するまで薬剤を使用できず、薬剤使用のタイムラグが生じることが課題とされている。
この日のWGでは、訪問看護事業等を行うスギメディカルが、薬剤師が現在行っている医薬品の配達、服薬指導・管理だけでなく、これら診療補助の実施も認めるよう要望。
在宅療養中の末期癌患者の疼痛に点滴による医療用麻薬の増量が必要になったなど、複数の事例を挙げた上で、要望内容が実現することでタイムラグが解消できるとした。
同社からの要望について、委員からは「癌患者が増加する中でスムーズに点滴することが重要。しっかりと行うべき」など肯定的な声が上がった。
厚労省は、「関係者の声を聞きながら、広く検討したい」との考えを示した。この回答について、内閣府規制改革推進室は「在宅医療に限定したものではないと推測している。問題提起があったことを踏まえ、内容を精査する方向だ」とした。