■単品単価交渉を原則に
流通改善ガイドラインは直近では2018年1月に改訂しており、4年ぶりの改訂となる。医療用医薬品の流通については大手卸売業者が実施していた入札談合が独占禁止法違反に問われ、起訴・有罪判決となった。法令遵守の徹底と再発防止に取り組む必要や、医療用医薬品の取引環境に大きな変化が生じ、長年の商慣行の改善に向けてガイドラインの改訂を行うことになった。
メーカーから医薬品卸の川上取引では、割り戻し・アローアンスのうち仕切価に反映可能なものは仕切価へ反映した上で、整理・縮小を行うことと追記。仕切価・割り戻し・アローアンスについてはメーカーと卸売業者との間で十分に協議の上、なるべく早期に設定を行うよう求める。
卸売業者と保険薬局等の川下取引では、医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉や不当廉売を禁止する。卸売業者は仕切価に安定供給に必要なコストを踏まえた適切な価格設定を行うと共に、その根拠と妥当性を説明するなどにより価格交渉を進めることとした。
医薬品供給に要する費用を著しく下回る対価で供給し、他の卸売業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には、独占禁止法の不当廉売に該当する可能性もガイドライン上で明記した。
期中で薬価改定があるなど医薬品の価値に変動があるような場合を除き、当年度内は妥結価格の変更を原則行わないこととし、年間契約などより長期の契約を基本とするとした。
単品単価契約の契約率は高まっているものの、一部に上半期のみ単品単価契約を締結し、それ以降に総価契約を締結する取引も見られた。早期妥結と単品単価交渉に基づく単品単価契約の推進に向け、原則として単品単価交渉を行うこととし、契約は単品ごとの価格を明示した覚書を利用することなどにより行うとした。
その上で、価格交渉の段階から単品単価交渉を行うことを基本とし、少なくとも前年度より単品単価交渉の範囲を拡大することを求める。取引交渉段階から確実に単品単価交渉・契約を原則に、個々の医薬品の価値に見合った価格形成ができるような市場環境の整備を図る。
在庫調整を目的とした返品を自粛し、全ての流通事業者は独占禁止法など関係法令等を遵守するよう求め、定期的に研修を受講することも追記。卸売業者は頻回配送・急配の回数やコスト負担等について取引先に対し、コストの根拠等に基づき理解を求めることも記載した。
そのほか、交渉が行き詰まり、改善の見込みがない場合に加え、指針の趣旨に沿わない事例については厚労省への相談が可能と明記した。